ARATA EARTH アラタ・アース 地球がニンゲンの姿になって、旧人類たちの古代文明世界で旅にでる!

Ⅰ 地球記

おぼえてろ、宇宙(本編はこの次)

 地球ちきゅうは夢をもった。


 宇宙全土を生命せいめいで満たすという夢だ。


生命せいめい〉と呼ばれるその夢は、のちに単細胞生物たんさいぼうせいぶつとなり、数を増やし、姿を進化させ、陸へと上がり、ついには人類なるものが地上にあふれかえるまでになる。


 地球の顔には一面に朝が広がっていた。まるで昼が歩いているかのようだった。夜のような言葉を話した。


 思想を抑制され、行動を制限され、夢を見ることを禁じる窮屈なこの宇宙をぶっ壊してやろうと地球は画策。


 地球はこの宇宙でただひとり、〈生命〉を創りだすことができた。そこで、五体の最初の生命体〈五大絶滅将軍ごだいぜつめつしょうぐん〉オルドビス、デボン、デーヴァペルム、トライアス、ハクアを創りだすと、またたく間に星の数ほど軍隊を生みだして、宇宙へ叛旗はんきひるがえした。


 ときは、後期重爆撃期こうきじゅうばくげきき数多あまたの惑星が衝突を繰り返した戦乱の世。


 地球率いる反乱軍と、それを阻止しようと立ち上がった太陽系戦士たいようけいせんしたちとの天下分け目の最終決戦は、二つのあまがわが衝突するかのごとく、はげしくぶつかりあった。


 結果、地球は敗北し、封印される。部下は皆殺し。究極殺戮兵器きゅうきょくさつりくへいき太陽たいよう〉を叩き落とされたからだ。


 


 ――――それからとてつもなく膨大な歳月がながれ、かつて単細胞生物だった〈生命〉が今ではニンゲンとなり、その他の生命を追いやって、地上を我が物顔で闊歩かっぽしている。


 この傍若無人ぼうじゃくぶじんな生命体の身勝手な振る舞いによって、環境が破壊され、地球のじょうも解かれる。


 野に放たれた地獄。


 この世は刻々と終焉しゅうえんのときを刻み始める。


 物語の主人公。


 その者の名は地球。


 宇宙の王のお出ましである。

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