第52話 ブサイクって割と自覚できなよね??
文化祭当日。
俺は緊張していた。
色々ありすぎて忘れていたけど、陰キャが主役とか無理過ぎない?
舞台に立つのも怖い。
結局、3日前にもらったという台本は概要だけざっくりと覚えただけで、ほとんど覚えていない。
ロミオとジュリエットのオマージュのような作品なのだが、大分元の作品とは違っていて現代チックなものになっている。
ジュリエット(=リン)の方は、クラスで人気者の陽キャで美少女。ロミオ(=ケンタロウ)は、友達もいない陰キャの冴えないボッチ。
この時点で嫌な予感はしたのだが、内容は更に酷かった。
陽キャと陰キャということで接点がない二人だったが、文化祭の演劇を機会に段々と惹かれあっていく。
演劇の演目は『ロミオとジュリエット』だった。
二人は惹かれあっていったが、お互いの立場を想えば付き合うわけにはいかなかった。
ジュリエットの友達はその思いを理解してくれるのだが、他の男子や女子が理解してくれないのだ。
ジュリエットが『ロミオ優しくていいよね』と言うと、『確かにそうかもねぇ。でも、恋愛対象ではないよねぇ。有り得ないよね』という牽制を女子からいれられる。
またもう一つ問題があった。男子からもアプローチが多いジュリエットが付き合うということは、『その男子たちよりもイイ男』という称号を手にすることとなる。
今までも、医者の息子の飯田君、アイドルグループとして活動もしているイケメンの星野君、笑いのセンスが抜群明石家君など多彩な男からの告白を断っているジュリエットは、どうしてもロミオに告白することができないでいた。
もしも、ロミオに告白すれば、女の子からは、男の趣味について陰口を叩かれる。それは、あまり嬉しいものではない。それでも、それだけならば、ジュリエットは告白をしただろう。
だが、もう一つ心配事があった。ジュリエットがロミオに告白して付き合うことになったら、ロミオが他の男子からやっかまれてしまうという懸念だ。それを思うとジュリエットは告白するのを躊躇してしまっていた。
それでもジュリエットの恋心は次第に燃え上がっていく。
一方のロミオもジュリエットからの好意に気付き始めていたが自分に自信がもてない“ブサイク”の自覚がある彼は中々、その好意を確信できないでいた。色々な人に告白されていたのは、ボッチのロミオでも知っているくらいに有名だったこともあり、告白はできないでいた。
しかし、何だかんだあって、2人が実は幼馴染だったことが判明して事態は急展開を迎えていく。
周りの人たちも『幼馴染なら付き合えばいいよね』という掌返しをし始める。
そして、文化祭の終わり、劇での最後、ロミオは『告白』をする。
その時、彼は、劇の役の名前でなく、ジュリエットの名前を告げて告白する。
その告白にジュリエットは頬を赤らめながら嬉しそうに返事をする。
最後に、熱いキスを舞台でして終了というストーリーだった。
ツッコミポイントは色々ある。
明らかに、凛と俺の立場になっている。正直、ロミジュリというよりも、恋愛ドラマみたいになっているしな。
だが、何よりも言いたいのは、
『誰が“ブサイク”としての自覚があるだ!』
ってことだ。
俺だって多少は傷つくよ。自己評価は、クラスの男子20人中12位くらいだからねっ。イケメンじゃないけど、実はブサイクとまでは思っていないからね。
実は、文化祭を使った壮大ないじめを受けているのだろうか?という疑問をもって文化祭は始まった。
…練習ほとんどしていないけど本当に始まっちゃうの?マジで?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます