厄災の全貌

 号令の男は海面や海上を見回しつつ霧の中心に向かいながら思ったいた。


「可笑しくないか? いくらなんでも静か過ぎる、、、」


 そう、災厄が出現し黒い霧が立ち込める海上、プランクトンや海中の生物は愚か海上の生物も毒素の濃い霧を吸って死んでいるとゆうのに、、、

 無数の生物が毒にやられ死んだにしては明らかな違和感。

 男はそれを感じながら海面に近づいていく。

 男がいるのは少し外れてはいるものの霧の中心付近、流石になんらかのアクションがあっても可笑しくない地点。

 にも関わらず何も無い。

 厄災どころか取り巻きも見当たらない。

 異質、そんな言葉が頭に浮かんでいた男の思考はイヤホンの音に遮られた。


『厄災の取り巻きを発見しました! 上空に気をつけてください!』


 その声と同時、全くの不意打ちであった。

 上空を見上げた瞬間、一瞬見えた鳥のような影が消えると同時に男はAmaterasuの出力を最大に引き上げ真横に自らを吹っ飛ばした。

 と、海面が大きな水飛沫を上げ数匹の死んだ魚を打ち上げた。


「災厄と接触、飛行型だ!」

『了解ですっ!』


 その返事を聞いた男は唖然とした、イヤホン越しに聞こえる声は多くみても6人程度だったから。















 災厄は戸惑っていた。

 まあ、この以上事態に人間が攻め入ってくればパニックも起こすのだろうが。

 災厄は確かに感じていた、自らが住む海の更に深みに己を圧倒的に凌駕する化け物の存在を。

 そのプレッシャーから逃げるように霧が届くギリギリの空を舞っている。

 自分が海中の生物なんてことは忘れている。

 そんな災厄は不用心に海面へ近づく人間に、いや、、、

 其れをキッカケに海底より不覚の化け物が己を敵視することを恐れていた。

 故に彼女は、反射的に人間の背中を襲い海中に飛び込んだ。

 彼女は海竜だ、神の領域の規律正しい問題児。

 そんな彼女は産まれながらの病で自らが出した吐息に含まれる成分のない場所では呼吸ができない。

 海中でならばそれが無くとも呼吸できるのだが、、、

 とゆうか、そんな理由が無ければとうに海を去り遠くへ逃げていた。

 化け物がいようといなかろうとそれが無ければ彼女は止まる意味などない。


「厄災と接触、飛行型だ!」


 人間の声が聞こえて彼女は瞬時に意味を解した。

 その1フレーズだけで彼女は言語を理解してしまっていた。

 故に彼女は海中から頭を出し攻撃体制を取る男に叫ぶ。


「止めなさい! 死にたいのですか!」


 ソレに不思議そうな顔を浮かべた男は、しかし怪物の戯言と無視して攻撃した。

 「ドンドンドンッ!」っとゆう腹の底に響くような音が響くと同時、男が構えた黒い筒を組み合わせたようなものからフラッシュと銀色の何かが射出された。

 速度感で伸びたように見える先端の少し尖った球はドラゴンの体に弾かれつつも海面を抉って海中に突き進む。

 ソレに青ざめた彼女は逃げるように上へ上へと登っていく。

 ソレに一瞬遅れて、海面が爆発した。

 その衝撃に男はAmaterasuのコントロールを失い吹っ飛ばされる。

 そして海面から現れたのは、男とさして変わらない少し筋肉が少ない程度の男。

 しかし、そのインパクトはレベルが違う。

 この世界の人間は魔力を視認する。

 まあ一般的な魔力であれば視認しても気付かない程度の薄さだし、先のドラゴンも魔力は凄いがそれだけ、体表を濃い魔力が纏っているだけ。

 しかし現れた者は異質、空間を覆う霧が全く分からないどころか一切合切の光が消えたような漆黒が空間を包み込んだ。


「あ、出れた」


 そんな声に込められた無意識の魔力が、圧力のように男や海竜、その他竜の取り巻きや軍の人間やら全ての意識を掻っ攫い数人をショック死させた。

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封印されてた悪魔さんは仲間のために働きます! カランドウ @tyokomiruku

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