解けた封印、、、

 かつて、世界が今より4回りは小さかった時。

 世界は既に万を数える危機の中で最悪の状況に陥っていた。

 誰が作ったかも分からないルールの元で現れた1000年に一度の災厄、それは邪神と呼ばれる存在であった。

 邪神は無数の悪魔を従え狂い咲く美しい桜を漆黒に染め和の風情を感じさせる平和な街を一晩のうちに占拠し、死臭漂うゴーストタウンに変えてしまった。

 生存者は居らず、其れどころか死臭だけを残し死体すらも消えてしまっている。

 通常であれば厄災とともに現れるはずの来訪者も3人や4人であるが、その日現れたのは100を優に超える量であったと言われる。

 そして、通常なら来訪者が仮に敗れても神の恩恵を受けた天使の奇跡により20年以内に厄災は消滅する。

 しかし邪神とソレが率いた最上位悪魔は100万年経った今でも神々により封印された地中深くの祭殿で健在であった。

 邪神と100の最上位悪魔は地形の変動で埋まった各所の祭殿へ神々の手により封じられている。

 邪神供が牛耳った3万年の歴史上生まれた厄災は須く一味の手によって惨殺され何も得るもの無く世を去ったとされている。

 これは、そんな最上位悪魔の内一体の話である。



















 何年、此処で寝むっていただろう、、、

 神の光に封じられてから時が経ちすぎて1秒と一時間の違いが分からない、、、

 それ程まで時を経ても死なない自分は凄いのか、そんな自問自答を何万年も続けた気がする。

 とうに忘れた感情の起伏を、ある日の何の代わり映えもしない瞬間の直後に私は思い出した。

 悠久の時を停止していた眼球に映る岩肌の景色が急激に劣化し、瓦解したのだ。

 理由は不明だがハッキリと私の目は純白の岩肌ではない茶色く湿り気の多い泥を映している。

 年月を経て地形を変われば宮殿が土に埋まる事もあるのだろうか?

 大きな純白の宮殿であったと思うが眼前に広がるのは重圧に耐えられず倒壊し醜く濁った辛うじて天井だけが残り上の土砂を耐えているだけで中に大量の土砂が流れ込んだ醜い場所。

 既に原型は見えない。

 憶測だが宮殿の倒壊をきっかけに封印が消えたんじゃないだろうか、実際に神々も祭壇を魔力の供給源としていたようだし、、、

 崩壊が始まれば終止は速いようで連鎖的に崩壊した純白の不変物質であったはずのオリハルコンは灰色に変色し地に破片を残して輝きを失っている。

 数秒で解放された脚を上げて一歩踏み出、、、


「うおっとっと、ぐぎっ、、、、」


 何万年ぶりの一歩は泥に滑って締まらない感じになっちゃったし久々に使った喉は激痛に悲鳴を上げてる、、、

 使ってなかったせいで踏み直した足は膝から崩れる。


「ばー、あ、あーーー、、、うし、まあ使えるな。 ってか弱体化しすぎだろ、、、」


 私は崩れた下の泥で仰向けになり、呟いてリハビリを志した。

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