Incantation
午前12時半
外を見れば ビルとビルのすきまに
白く光る 細い細い月
灯ひとつない 部屋の中
ふたりがけのソファに 毛布をくるまって
ひとり小さくまあるくなる
貴方を待つ時間は
永遠よりもずっと長い
貴方を待つ部屋は
闇よりもずっとずっと冷たい
貴方を絡めている赤い糸の先
握りしめているこの手を離して
貴方を自由にしたい
貴方にすがるように
貴方の手を握るわたしの手を緩めて
わたしも自由になりたい
そう思いながら 私は
呪いの言葉を月にかける
「貴方がこの手をふりはらって
出ていく前に
止まってしまえ
わたしの心臓」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます