魔法少女ラブハート

鈴木まざくら

第1話

 書店街が有名なこの町は誘惑が多い。カレーの匂いが食欲を刺激する午後十三時。タイトルだけで選んだ古本が肩を重くするが、スーパーカブが私をおんぼろアパートに連れて行ってくれる。今日は雨が降るらしいから、夜は出前を取ろうか。昼ご飯を食べる前から考えるのは、少し邪推な感じもするが良いだろう。他に考える事がない。

 住宅街に入りスピードを落とす最中、割烹着に竹箒で掃除をしていたであろう女性が手を振っている。令和から昭和にタイムスリップでもしたのであろうか、もしくは幻覚か。

「れいなちゃーん!」

 現実にしても、金色の長髪にピアスを開けた黒い革ジャケットのバイク乗りである私を、下の名前にちゃん付けで呼ぶおろかものは一人しか覚えがなかった。

「こんにちは。海子さん。」

 私が三歳の頃から見た目が変わっていない気がする。歳は怖くて聞けないが、童顔で小さな女の子?がはしゃいでる姿は可愛い。

「なにお買い物?れいなちゃんはもう大学生だったかしら。懐かしいわね、海子お姉ちゃんなんて呼んでくれて、ぴょこぴょこ後ろをついてきたと思ったら、もう大学生だもの!あ、今でも海子お姉ちゃんって呼んでくれていいのよ?」

 口を開くとおばちゃんって感じだ。それも昔から変わらないのだけれど。

「海子さん、私はもう二十三。大学は卒業したの。それと、苗字でよんで。」

 まぁ、大学を卒業しても職にもつかずにバイク乗って過ごしてるけどさ。

「あらやだ。もう二十三歳ってことは良い人でもできた?それに苗字で呼んでも愛衣ちゃんじゃない。あいちゃーん?あら、しっくりくるわね。」

 今すぐ逃げ出したいけど、アパートも安く使わせてもらってる手前、ババアの暇にも付き合ってやらなくもない。あと二分だけね。

「おばちゃん。お腹すいたー。」

 海子宅から出てきたのは、小学生くらいの男の子。いや、本当はジジイかも知れない。

「あんた失礼なこと考えたでしょ!この子は従姉妹の子供よ。勝治くんは今年で小学三年生だもんねー。もう一人でも遊びにいけるもんねー。」

「今日は駅の方にたんけんしに行くから、はやくご飯!」

 ついに容姿に加え超常的な力も手に入れたのか。年の功というのは侮れない。おっと、小学三年生日本男児勝治くんが隠れてしまった。シャイな年頃か。

「もー、スゴんでるから怯えちゃったじゃないの。あの人は怖くないのよー、私の手下だから。」

……………。

「別にスゴんでなんか…手下じゃないし…」

 私も海子さんみたいになれたら…はぁ、へこむ。せめて身長が平均ぐらいまで下がれば…いや、目つき?口調を変えるくらいなら私でも?

「一人で悩んでたって始まらないわ。どう?ご飯食べてく?カレーだよ、好きだったでしょ?あ、じゃがいも蒸してあげよっか?」

 …海子さんには全てが筒抜けなのかも知れない。海子さんのカレーは、材料が全て無くなるまで煮込んだ後、もう一度材料を入れてゴロゴロカレーにする凝ったカレーだ。家庭のレベルは超えてるが、有名店を真似してじゃがいもを付けるのは、庶民的というか、家庭の暖かさがある。うん、星四.五はあげたい…っていやいやいや。

「ごめん海子さん。今日は遠慮しとく。荷物が届く予定だからさ。」

「あらそう。いつでも食べにおいでね。」

 バイクに乗ってお別れを告げる。私が見えなくなるまで手を振っているのは恒例行事だ。豆粒ほどになってもぴょんぴょん跳ねてる姿は愛くるしいのだが、今ばかりは早く勝治くんにご飯出してやってほしい。

 住宅街も終わりかけ、駅からも遠く、コンビニも少し歩く。汚れて赤黒くなったアパートには、赤海壮と書かれている。安直なネーミングセンスだ。壁は薄いが、風呂とトイレ別で六畳とちょっと。二〇三号室に住んで五年になるが文句はない。黒いアイツは年に一回見かけるかどうか。

「ん、なにやつ!」

 我ながら一人になるとキャラが変わることを自覚する。見せる相手もいないので苦労はない。今は、その名の通り不快なモスキート音を垂れ流す元凶を探さなくては。

「はぁああああ…はっ!」

 外れ。というか首筋のところがやけに痒い。これは先手取られたか。今からは同じ血流れる同胞を殺さなくてはならんのか。いや、流れてはいないのだけど。

「そこ…だっ!はぁ〜ああ…あ?」

 え?な、に、これ、急に視界が…歪んで…。



「……んっ、んーっ」

 ジャケットも脱がないまま寝ていたのか。…十六時。記憶が曖昧……っ!

「そうだ!荷物が!!」

 どたどた走り扉を勢いつけ開ける。不在届でも挿さっているのかと思ったが、いつもの段ボールが置いてある。置いていってくれる配達は便利だけど、無用心なアパートに置くのは怖いから設定してない。勝手に置いていってくれたのだろうか、全く、今回だけ許してやる。

 鼻歌まじりにワンルームに帰り、獣が如きわんぱく開けにてご開帳。

「あれ?私のにゃんこ抱き枕…あれ?」

 何を隠そう、昼ごはんの後に抱きしめながら昼寝と洒落込む計画だったのだ!…そのはずが、昼ご飯も食べれず、いつの間にか寝てた私に…この仕打ち。

「ま、ままま、マジカルステッキ!?」

 抱きしめられないし、硬いし、子供のおもちゃ?だし、意味わからない。どう間違えたらこれがくるの!…いや、配達時に間違えたのでは?配達完了メールが届いたのは十五時四十五分、ついさっき。宛先は…合ってるけど、名前間違えてるし。日本人じゃないしこれ。発送元も知らないとこだし…くろにゃん配達まで飛ばせば、取り替えられる…?

「よし。覚悟を決めろ私…!待ってろ!にゃんこ抱きま、く、らーーー!」



ガーが、ががガー、ガがっ____

わたっ、しんりゃ、さ、、、ます。

外にはででででで、きけん、す!

くりかえし、す



 住宅街を抜けてからが勝負、ここじゃスピード出せないしね。もちろんスピード違反でしょっ引かれるようなヘマはしない。二年くらい前だろうか、見た目がスピード出してそうだからって理由で止めてきたアホ警察がいた。捕まる側のような、間の抜けた顔でへらへらした口調の自称三年目だった。元気にしてるだろうか。今になってお前の判断は間違ってなかったことが証明されそうだ。私に構わずこの町の平和を守ってくれよ、期待してるぜっ。

「今日は静かだなー♪治安が良くなってきたのかも知れないなー♪」



突然っ、!、、物が、きました。

信号、電信ばばば、ら、ベビーガーーー、で!

おそ、て、きます。

逃げて、にげ、

ここガーーーー、攻撃をっ、受けてます!



 そういえば、直接行かないで電話すればよかったんじゃ…。さっきから、蚊に刺された後が痒いというか熱いし、病院かこれ。なんか変なウィルスとか?こわっ。冷静になってくると冷静じゃなかったことがわかってくるな。何言ってんだ?ほんと。このマジカルステッキも部屋が間違ってるだけで、同じアパートの届け物だったんじゃないか?いや、それはないな。六部屋のうち、四部屋が空室で、残りはネパール人の夫婦が住んでるし。ナマステ言いながらコレ持ってる姿は想像でき…ぷっ。ちょっと面白いな。カレーのおそそ分けくれる良い夫婦だし、頼めばノリノリでやってくれそう。…私ってばカレー食べ過ぎじゃない?

 住宅街を抜けて、ビル立ち並ぶビジネス街に入って………なんだこれ…。人が全然いない。昼時は過ぎたし少ないのはわかるが、無人の車が乗り捨てられてるのは治安どうこうじゃないぞ。どうなってるアホ顔!一度バイクを止めよう、地震だったら余震が続くかも知れない。

 さっきまでエンジン音で聞こえてなかったのか、大通りの方から声がする。ヘルメットを取り耳をすませ…声だけじゃない、大勢が走ってくるような。近づいてくる!

「なんだよ…これ…」



攻撃されています!

繰り返します。

日本は攻撃を受けています!

建物内に入り防衛してください。

決して外には出ないようにしてください。



 逃げ惑う民衆の中には頭から血を流している人や、スーツの下で真っ赤になったワイシャツを手で押さえながらも走っている人、皆何かに怯え、懸命に逃げているんだ。

ただ、私の頭の中はあることが気がかりでしょうがなかった。

「勝治くん……!」

 私も来た道を戻るべきなのはわかってる。異常事態だからさ、やっぱ自分を第一に考えるべきだって。それに家出る前にコレが起きて、海子さんが止めてたかも知れない。もう三年生だから無事に家まで帰ってるかも。私が小学三年生の頃は、友達が引っ越しちゃって引き籠りがちだったけか。思い出せば懐かしいな、懐かしい懐かしい…。

「…よし、きばれ!私!!!」

 大通りはパニックで使えないだろうから、バイクがギリギリ通れる路地裏を通り抜け駅まで行く。何年この町に住んでると思ってんだ。喧嘩負けなしの愛衣れいな様だぞ。わんぱく小学生の時に鬼ごっこで負けたのが悔しくて、ここら辺の路地裏は全部把握したっての。保護した暁には、怯えずに私と遊んでもらうかんな。自称バイク乗りお姉ちゃんは割と暇なんだ。

 早口の店主が営むラーメン屋、看板が綺麗になった美容院、居酒屋チェーン群を抜ければ見える…駅!


 必死に見ないようにしていた。怖かった。火の手が上がり、鉄の匂いが充満した空間は、体を震わせた。怯え、逃げ惑うに至った原因が目の前にいる。それは理解を超えた化け物であった。

 信号機が頭部に位置し、黒い岩石が手足のように形をなしている。二足歩行で二メートルは優に越している。人間を掴むほどに大きな掌でスーツ姿の男性が握り潰されている。息絶えたことを確認したのか、次は逃げる女性に向けて投げつける。背中から赤黒くなった塊を受け、転び、信号機に捕まる。手慣れた作業を繰り返すように、人間を狩る。信号機の他に、飲食店の看板や自転車が頭部になっている化け物も見かけ、数は十五ほど見えている。

「…目的を見失うな、探せ…探せ…!」

 駅前は通れない。化け物の図体じゃ通れないルートでバイクを走らせるんだ。

 どこだ…子供が行きそうな場所…探検ってどこのことだろ…。駅の方ってことは駅では無い、駅の近く?あの後、ご飯を食べてからすぐに出掛けたなら、かなり遠くまでいけるはず。子どもが遊ぶならお金がかからないとこになるか。

 突如全身を影が覆う。

「っ、くぅああああ!」

 バイクほどの大きさがある、コンクリートの塊がヘルメットを擦りとる。追われていた。私に当たる予定であったそれは、電信柱に衝突し、へし折った!

「くそっ、逃げ切ってやるからな!デカブツが!」

 大学卒業祝いに買ったヘルメットが背後で踏み潰されていた。車に轢かれても潰れないほどの強度を持ったヘルメットのはずだったが。

 どこに行けば良い?そうだ、海子さんに電話して聞いてみるか…圏外。そりゃそうか。

 どんどん駅から離れていってる。化け物も食らい付いてくるが、少しづつ距離ができている気もする。あの巨体で速いとか反則だろ。

 考えろ、考えろ!この先は…博物館…なら海子さんと一緒に行くだろうし…一緒に行く?

「わかった、ここでしょ海子さん!」

 博物館のさらに先、春には桜が綺麗な公園がある。引き篭もってた時に、海子お姉ちゃんに連れ出された公園。全く、子供は公園に連れてけば良いと思ってるでしょ。公園でスマホいじってるよ、今の子供は。偏見だけどね!

 入り口なんて関係ない。綺麗に整えられた花壇を罪悪感に駆られながらバイクで通る。

緑一面の芝生が広がるはずだった公園は、真っ赤に染まり、遊具を頭につけた化け物が三体ほど闊歩していた。

「お願い、お願いだから生きてて…お願い…」

 バイクの音に反応して化け物の群れが体を翻す。その隙間に見えた希望。ベンチの下に蹲っている子どもが一人。

 考えている暇はなかった。いつ見つかってもおかしくはない。勝算はなくとも今は突っ込むだけ。

「ふぅ…はぁああああくらえーーーーー!!」

 息を整え全速力のバイクで化け物に突っ込む。

そのまま乗り捨て転がり落ちるようにベンチへ。

決死のダイブに化け物は背中を地面につけた。

「勝治くん!大丈夫!?」

 全身を震わせ息を殺していた緊張感から解放されて、自然と涙が溢れる。

「あ、ありがとう、うっ、うううぅ」

「帰ろう。さぁ今のうちに!」

 そっと抱きしめてあげたい気持ちを抑え、今は逃げなくてはならない。命がけで作った機会を逃せば、二人とも死ぬ。

 まずは公園を出なくては。開けた場所では簡単に追いつかれてしまう。

 しかし、走り出した瞬間、目の前に馴染み深いバイクが叩きつけられる。

「くっ、そ…」

 目の前に死が迫っているのに、首筋の蚊に刺されが気になっていた。やりたいことも特になかったが、子供の未来を閉ざすことはしたくない。驚くことに、私は拳を突き出しファイティングポーズをとっていた。

「大丈夫!私が全部やっつけちゃうんだから。」

 一対一ならまだしも、複数相手じゃ時間稼ぎにならない。相手をしてない化け物に追われてしまう。必死に生きようとしたこの子を助けるには、倒すしかない。

「オラああああーー!!」

 型も何も無い。力任せのぶん殴り。当然、岩石を殴れば拳は壊れる。はずだった。

 愛衣れいなの拳により化け物は再び地面に倒れる。全速力のバイクと同等のエネルギーがそこにはあった。

 何が起こったかわからなかった。火事場の馬鹿力というやつなのか。ただ一つわかれば良いのは、これはチャンスである。勝治に逃げるよう指示し、追おうとする化け物を、向かってくる化け物を殴る、殴る。殴った箇所が徐々にひび割れていく。

「勝てる…!このまま粘れば勝てる!」

 より一層拳に力を入れた時であった。腹部に衝撃がはしり、一メートルほど体が吹き飛ぶ。

 命中したのは花壇のレンガであった。駅から追ってきた信号機の化け物がゆっくりと向かってくる。息ができない。左部の肋骨が砕け臓器に刺さり、口から血が流れ出る。

 薄れゆく意識。冷えていく身体。これが死なのだと理解する。勝治は逃げられただろうか。海子さんが心配するから、早く帰ってあげてね。

四体の化物に囲まれている。死を観察されているのか、何もしてこない。眠くなってきた。ここでにゃんこ抱き枕があれば…ちゃんと届いてればここには居ないのだけどね。

「おねぇちゃーん!死なないで!」

「ばか、なんで…」

 逃げたはずの勝治は頼りない棒切れを持ってそこに居た。ガタガタと震えながらも、そこにいる。

「がんばれー!がんばれーー!!」

 遊具の化け物が一体勝治に向かっていく。それでも逃げずに声を出し続けている。私はふと思った。この声に応えなくては。

「うっ、ああっ!がああ、あ」

 立ち上がる。目の前の子供を助けるために。軋む身体を無理やりに動かしていく。

「いまっ、助けに…」

 もうすぐ死ぬのか、幻覚が見えてきた。間違って届けられた子供のおもちゃ、マジカルステッキとやらが目の前に浮かんでいた。


ーコードネーム'ラブハート'

         チカラヲカイホウセヨ


 宙に浮く玩具から機械音が頭に流れてくる

 何をすべきか教えてくれるように。


「ゲートオープン…きて!」


ーアイ ヲ アナタニ


 ピンクのフリフリなドレスに、綺麗に巻かれたツインテール。百三十cmほどしかない身長と、全てが変身者と真逆をいく変身体は、子供に希望と安心を与えることに特化している。首筋には、小さな魔法陣が刻まれた。


「地球をまるっと!包み込む大きな愛!魔法少女ラブハート!!」



 踏み込んだ一歩で約二十メートル先の遊具の化け物に拳を叩き込む。ひび割れるだけではない、胴体が割れ動かなくなった。頭部の遊具を残し、黒い岩石のような部分が、まるで苦しむようにもがき溶けていった。

「目線ひっくっっっっ!!!!」

 突然こんな姿になったとか、知らないセリフが口から出たとか、いろいろあったがまずはそれだった。

「お姉ちゃんすっげー」

 怖がられることが常な愛衣れいなにとって、羨望とも呼ぶべき子供の目線は、初めてのことであり心が満たされるのを感じた。

「言ったでしょ。全部やっつけちゃうって!」

 頭をひと撫でし、残りの化け物に歩を進める。

 たじろぐ様子は無く、こちらをじっと見ているのか動かない。

 飛翔し、身長差を埋め、顔面に拳をめり込ませる。受けた頭部は爆ぜ、胴体が溶けてなくなる。

「かかってこいデカブツども」

 車をも粉砕する化け物の拳を相殺するように、拳で受け立つ。薄ピンクの湯気のようなものを纏った愛衣れいなの拳が、砕き、肩まで粉砕する。そのまま頭部に向けてのソバットでとどめを刺す。溶けてなくなる前に、残った胴体に乗り上がり、近くの化け物に向け膝を放つが、顔面で止まる。

「ーーーーーーっ!…いった〜」

 芝生の上を転げ回り、理解する。謎の湯気が拳と膝下ぐらいまでしか覆っていない。

「そういうことか…死ね!」

 八つ当たりの正拳突きが胴体を貫き、拳を引き抜いた衝撃で崩れ落ちる。

「残りは一体、お前だよ信号マン!」

 コンクリート投げに続き、レンガまで投げてきやがって。初めて自分の内臓を感じたわ!


ーワタシ ヲ オツカイクダサイ


「ひゃっ!」

 背後に浮かんでいたのは元凶となった棒。

「く、お前、変な声でたじゃねーか!」

 ぶんぶんと回してみる。お仕置きのつもりだが、効いている様子はない。


ーワタシ ヲ オツカイクダサイ

ーワタシ ヲ オツカイクダサイ

ーワタシ ヲ オツカ


「わかったよ!!」

 こんなにしつこい棒は初めてだ。浮かぶ棒も初めてだけど。こんな棒に初めて取られすぎじゃない?

「で、どうやって使うの?」

 敵前にして悠長な会話だが、今の私は負ける気がしない。


ーゴジユウニ オツカイクダサイ


「コイツ〜つっかえない棒!」

 とりあえず棒切れとして戦ってみるしかないようだ。剣道のような構えで、目の前の信号マンに向けて、振り下ろす。

 命名信号マンは恐れているのか、身体を逸らし棒を避けた。

 何でこんなの使わなくちゃいけないのか、避けられるのを見ながら考えていた。その期待に応えるように、振り下ろし切り、腰あたりに構えた状態の棒からピンク色のビーム砲が発射される。

 信号マンは蒸発したかのように消え、ビームは雲を貫いた。勝利した愛衣れいなに、予報通りの雨が降る。

「この、おもちゃ防水してるかな…」

ビームに全ての力を使ったのか、ここで意識が途絶えた。


次に目覚める場所は病院…ではなく実験場である。


ガガッ、ジーーー

突如日本を襲った怪物を退治したのは

魔法少女を名乗る女の子達です。

魔法少女を名乗る女の子達の活躍により

日本に再び平和が訪れました。

今回の事件の究明に……

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