22日 アダンは野いちごを食べる 『ダンジョンマスターは〜』

 街の外れに、ひっそりと、その家はあった。その家の裏に、野いちごの茨の茂みがあった。

 茨で傷だらけになりながら口にする味はとても酸っぱい。でもそこには誰もいなくて、殴られることもない。

 茨の中でアダンは自分の細い腕を見た。武器は使えない。奪われるだけ。

 魔法が良い。それならもしかしたら。


(140文字)


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『ダンジョンマスターはおとぎばなしを夢みてる』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054898472387


以前企画用に書いた番外編短編『ダンジョンマスターは菓子を食べる』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921698662

の中で、アダンがちらっと喋った野いちごの話です。

多分十歳くらいの頃、きちんと冒険者になる前の話だと思います。

アダンのロクでもない過去については本編の三十七話でも少し語ってますが、その頃のことだと思います。


アダンが一人ソロに不向きな魔法使いソーサラーなのは、当時のアダンが大真面目に考えた結果です。みたいな話を本編のどこかに入れたかったけど入れる暇がないままでした。

そんなアダンなので、近頃の魔法使いソーサラーに対しては「守られながらじゃないと魔法使えないとか、ヌルいよなあ」って感想を持っているみたいです。

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