6日 シルの髪を梳かす 『旅をする』

 森の飾りオール・アクィトを結ぶのは俺の役割になった。櫛を買ったのは、それでだ。

 シルの髪を丁寧に梳かす。さらさらとする髪の毛に飾りを編み込む。シルの瞳が嬉しそうに細められる。

 不意に思い出すのは家の洗面所。けど。

「ユーヤ、できた?」

 シルの声に現実に戻される。俺は息を吐くと、笑って応えた。

「できたよ」


(140文字・ルビ除く)


□■□■□■□


『旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界』

https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054935110451


シルは自分で森の飾りオール・アクィトを結べません。夜寝る前にそれを外して、朝起きてそれを編み込んで結ぶのは、ユーヤの仕事になると思います。

ユーヤにとっては、シルと一緒にいる今が現実で、日本での記憶はなんだかぼんやりと遠いものになってしまいました。

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