十六歳の花嫁
エール
第1話 JK天女との奇妙な出会い
7月初旬、土曜日の朝九時頃。
まだ梅雨が明けきっていないため、外は曇り空。
炎天下、ということはないだろうが、蒸し暑いだろうということは想像できたので、俺――土屋隼斗、二十三歳、独身――は、クーラーの効いた部屋でうたた寝をしていた。
下の階から、女の子の大きな声が聞こえてくる……泣いているようにも感じられた。
そういえば、小さな子供がいるっていう家族が引っ越してきたんだったな……。
「ママ、ドア開けて!」
と言っているように聞こえた。
なにかイタズラでもして反省するように追い出されたのかな、と考え、とりあえずスルーした。
ところが、五分経っても、その泣いているような声が断続的に聞こえてくる。
よく耳を澄ますと、
「どうしてドア開けてくれないの!?」
という悲痛な叫びに聞こえた。
小さな子供をずっと閉め出すなんて……まさか……幼児虐待!?
今住んでいるのは小さなアパートで、一階、二階にそれぞれ一部屋ずつしか存在しない。
玄関は通りからちょっと奥まったところにあるので、多分、その声に気づいているのはその家族以外は俺だけだ。
何か嫌な予感がしたので、慌てて着替え、寝ぐせを直して、階段を降りていった。
しかし、女の子はもういなくなっていた。
気になったので、通りに出て周辺を歩いてみた。
すると、泣いている五歳ぐらいの女の子と、困惑した様子の、高校生ぐらいの髪の長い少女を見かけた。
姉妹かな……と思って通り過ぎようとしたのだが、ふと、ある可能性に気づいた。
ひょっとしたら、泣いている小さな女の子を、あの子が助けてあげている?
だとしたら……それを見かけてしまった俺も、ほおっておくわけにはいかないが……。
するとその子達は、今俺が出てきたアパートの方に歩き出した。
泣いていたのはあの子供に間違いないと確信したので、近づいて、
「あの、ひょっとしたらその子、迷子……っていうか、家に入れなくて泣いているんじゃないですか?」
と声を掛けた。
「あ、はい、そうらしいんです……この子のお知り合いの方ですか?」
丁寧な口調でそう返事をしてくれた髪の長いその子は、今まで出会った中でも……いや、テレビで見たことのあるアイドルを含めても、突出した美少女だと思った。
トクン、と鼓動が高鳴る。
それが、なぜかこの後俺のことを「神」だと思い込んでしまう、ちょっと間の抜けた女子高生「
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