薄青と雪白–2


「それでは、お蓋を閉めさせていただきます」



 みんなの顔に光る涙の粒が、あのときの星のようにきらきら光って見えるよ、なんて言ったら。



 今度は私が「キモい」「柄じゃない」ってみんなから笑われてしまうだろうか。



「さっき、お棺に何入れたんだ? 陽太」



「うん、王様ゲームのリベンジ」



「なんだよ、それ……」



「相変わらず変なやつだなお前……」



 級友たちが小さく笑ったのを感じる。



 そう。それでいい。



 ただでさえ湿気が多い季節なんだから、湿っぽく送り出されるのなんか、絶対嫌なんだ。



 だから笑っていて。そうやってみんなで。



 これはきっと、私が幹事で開く、最初で最後の同窓会だ。



 

 ――どうか。



 どうかお星様。



 今夜、これから流れるはずのその星に。私はフライングで願いをかける。



 生きているときは一度もしたことのないその行為に、全身全霊の思いを込めて。



 もう、私には数を打つことはできないから。





 どうか、ここにいるみんなの未来に、あの頃と同じく、いいえそれ以上に。



 たくさんの、きらきら輝く星の光のような幸せが、降り注ぎますように。





 私は最期にそう願い、そして永遠にこの目を閉じた。





〈了〉

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薄荷と王様 梶マユカ @ankotsubaki

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