濃紺と銀色–4


 あれから二十五年経った夏は、相変わらず蒸し暑い。



……のだろうな、と、思う。



 きっと私も今のみんなと同じ服を着ていたら、「このスカート熱吸いすぎ」と、当時と同じセリフを言っていたのかもしれない。



 そんなふうに思いながら、こっそりとあたりを見回す。



 いや、堂々と見回したところで、別に誰にも咎められる訳ではないのだけれど。



 堂々と思いっきり見回したくても、残念ながら今私は、そう簡単に自分のとっているこの姿勢を変えることができないのだ。



 私の周囲数十センチの空間だけは、この世界の蒸し暑さとは、今は無縁である。



 ――あの日。制服を着ていた夏の夜。

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