幸せな彼女と悲しい魔法使いの忘れ物
足駆 最人(あしかけ さいと)
プロローグ 夢への忘れ物
凍えそうな寒い日だった。
雪こそは降らないものの、この何年も使っているコートを脱ごうとは思わない寒さだった。
俺は冷たくなってきた体を震わせて、夜の街を歩く。
街の様子はとても眩しいものだった。
今日はクリスマスイブ。
イルミネーションなどの装飾が飾られていて、周囲の人々が浮き足だっているのがわかる。
「…キィィイイイン!」
ふと、俺の後方で大きな車の衝突音が聞こえた。
振り返って見てみると、案の定、車同士が事故を起こしていた。
俺はどこの誰かは知らないが、気の毒だと思った。
俺は周囲こ人々のようにその現場を興味を示してみるでもなく、その場を去った。
今はもう疲れているんだ。
…俺にはもうクリスマスなんて関係ないから。
だから、ゆっくり眠らせてくれ。
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