第15話 眩い光を浴びたのは私だった(ハミルトン視点)
姉上がいきなり、私を平手打ちにするとは、なぜなんだ?
姉上は、気が触れたのだろうか?それとも、やはり、オリビアは”黒い魔女”だったのか・・・
私が呆れながら姉上を諭していると、侍女が、来客があることを告げに来た。
「やぁ、久しぶりだね?ハミルトン!何年ぶりかな?」
声の主は姉上の義理の弟のアレクサンダーだった。
(※グレースの夫は隣国のカーター・イザリヤ伯爵です。その弟のアレクサンダーは魔導師様なので爵位を各国から複数もらっている大富豪です。魔導師様はこの世界には数人しかいませんので大変、偉い方です。一国の王様よりも上位の身分といえます)
「え?アレクサンダーじゃないか?いつから、この国にいるのだい?」
「あぁ、ちょうど三日前に来たところだ」
アレクサンダーは、オリビアが座っていた場所に腰掛け、奇妙な眼差しで私を見つめている。
「ねぇ、アレク。弟がおかしいのよ。さっきから、ずっと信じられないことばかり言っているのよ?弟の奥方のオリビア様は、怒ってもう二度と戻って来ないでしょうね。当然と言えば当然だけれど・・・」
「さっきの美しい女性が奥方だったのですか?本人に聞いたら『奥方だったことは一度もありませんよ』と言っていたがね」
「ふん!生意気な女だ。平民の冴えない女のくせにプライドばかり高くて困ったものさ!」
この言葉に姉は、今度は私の頭を叩こうとしていた。
「魅了の魔法にかかっているな」
アレクサンダーは言いながら、両手に魔力を込めだした。
凝縮した光の粒子が彼の掌に集まりだしていた。
「やっぱりだ!アレクサンダー、早く姉君にかかった魔法を解いてくれよ。やはり、オリビアは魔女だったのか!私の予想通りだった!」
だが、アレクサンダーが術を解くのに放った眩い光を浴びたのは私のほうだった。
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