第五話
そういうわけで日曜日となり慎太郎とともにバルーンイベントの行われる河川敷へと向かうことにした。
バルーンフェスタがあるときには、臨時駅が河川敷の上を通る線路沿いにもうけられるんだけど、期間外はなにもないただの橋がかけられて電車が通り抜けるだけだ。
そういうわけで高校生で免許を持たない私たちがイベント会場へ向かう方法はバスを使用するか免許をもつ人に送ってもらうしかないのだ。
でも、正直送ってもらう人って親になるわけじゃん。まだ彼氏できたこと言ってないのに送ってもらうのとなんてできるわけがない。もちろん、慎太郎も同じだ。
親に簡単に彼女できたなんていえるわけもなく、結局はバスで向かうことにしたのだ。
調べてみるとイベント会場までの直通のバス停はなく、最寄りのバス停から20分弱歩かないといけなくなる。普段は佐賀駅から学校まで自転車通学をしめいる私にとっては20分も歩くのは辛い。でも、仕方ないよね。あと行く手段がないんだから、頑張って歩く以外ないじゃないの。
そんな話をしたら、慎太郎が「たった20分じゃん。大したことない」という。
あんたはよかよ。
毎日走ってるんだから、そりゃあ20分なんて大したことないに決まっとる。
けど文化部の私にとっては苦痛!
「彩佳も運動部に入ればよかったじゃん。いまからでも陸上部に入らんね」
「入るか! うちが運動苦手なの慎太郎も知っとるやろう」
「じゃあ、おぶってやろうか? 会場まで」
「いや! 恥ずかしかっ!」
そういって私はそっぽを向く。
「よかやん。俺たち付き合っとるとやろう? それにこがん田舎に人どんおらんよ」
確かに人通りは少ないけど、だれが見ているかわからないじゃない。やっぱり恥ずかしすぎる!
怪我でもしたならともかく。
うーん、それも恥ずかしい!
「わかった。ガンバって歩く」
それ以外ない!
運動嫌いな私にとっては田舎のこういうところが嫌いだ。はやく卒業して都会へ行きたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます