第二話
車いすにのった学校の先輩とはどういう人物なのだろうか。
私はなんとなく興味を抱いた。
彼の話によるとその人は陸上部に所属していた人で、全国大会に出場してチーム
に貢献していた人らしいのだ。
なんでも子供のころから走ることが好きで同じ陸上部にいた人といつもどちらが早いかを争い競いあっていたらしい。
高校卒業後、そのライバルだった人は東京の大学へ進学し、車いすになった人は地元に大学へ進学。大学でも陸上部に所属して箱根駅伝を目指していたそうだが、チームは地区予選で敗退していたために箱根の夢がかなうこともなく卒業した。
その後社会人になった彼は毎日欠かさず走っていた。
東京にいっていたライバルが戻ってきたことにより、二人で毎日走り毎日競うあっていた。
そして毎年春なると佐賀県の春のマラソン大会に出場し毎年一位と二位を争っていた。それに参加していた人たちの間ではちょっとした有名人でもあるのだという。
けれど、私も彼もマラソン大会というものに参加したことはなかった。なにせどちらも長距離ムキではないためだ。ふたりとも部活でやっていたのはバスケ部。バスケットの試合で走る程度なもので長距離走なんて学校の授業でやる程度だった。
なぜ、そんなしんどい思いをしてまで走る必要があるのか理解できない。
「それで、その人がさあ、今度は車いすでマラソンに出場することをめざしているらしかとばい」
彼がいった。
車いすでマラソン出場?
それは可能なのかといえば、実際にマラソン大会では車いすでの出場も許可されいる。
マラソン大会といっても本格的に相手と競うものではない。あくまでも時間内にゴールすることが目的で道中では歩いても休憩しても構わないのだ。
なにせ、通常の競うようなマラソン大会よりもずいぶんとゆとりをもって制限時間の設定をされているそうで車いすだろうとゴールしようと思えばできるのだ。
ただ、この感染症が蔓延している世の中で果たして来年の春マラソン大会が開催されるかは不明だ。
「それどバルーンは関係なかじゃん」
「そうばい。関係なか。でも、話によるとバルーンにも乗ってみたかったらしかとよ」
「なんね。それ。どがん特権をもっとるとね」
「知らん。でも、そういうことたい」
よくわからない。
いったいその人はどんな人物なのかと余計に興味が沸いてしまった。
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