高度な文明

鯨飲

高度な文明

 大きな音を立て、宇宙から謎の物体Xが、地球に飛来してきた。

 

 Xが飛来した場所は郊外の山奥であったが、衛星でその様子は確認されていたため、すぐに宇宙航空局や軍隊が、飛んできた。

 

 Xは、地球で見たことがない素材で構成されており、ここよりも発展した星の技術を彷彿とさせた。

 

 しばらく、膠着状態が続いていたが、X側が最初に動き出した。

 

 Xの中から何か出てきたのである。

 

 地球人側は、それが何であるのかが、さっぱり分からないので、不安と恐怖に苛まれた。

 

 軍人たちは、武器を構えてはいるが、これまで見たことがない目の前の光景に圧倒され、それを自らの記憶に留めようとしていたため、彼らはまるでカメラ構えているようだった。

 

 モゾモゾと、Xの中から出てきたのは、Xと形がそっくりでほんの一回りほど小さい生命体Yであった。さながら、マトリョーシカのようであった。

 

 中から出てきたYはこちらに向かってきた。手には紙のようなものを持っていた。

 

 その紙には、アルファベットが書かれていた。

 

 そして、触手のような部位でアルファベットを一つずつ指して、会話を試みてきた。

 

「こんにちわ」

 

 たどたどしく、Yは紙に書かれた文字を指差していく。

 

 ここから、地球人側の代表とYの会話が始まった。

 

「こんにちは。あなたはどんな目的でやってきたのですか。」

 

「かんこうです」

 

「侵略ではないですか?」

 

「ちがいます」

 

「どうやって地球の言葉を勉強したのですか。」


「じつはいままでなんどもやってきています こんかいはいきおいよくちゃくちしすぎました ぼくたちはながいきなのでことばをまなぶじかんはたくさんありました」

 

 地球人側の代表は、ここから本題に入った。Xを横目に見ながら、次のように話し始めた。

 

「あなたの星のことをもっと知りたいのです。是非ともそれを調査させてもらいたいのですがよろしいでしょうか。」

 

「いいですよ あなたたちにはにあわないとおもいますが」

 

 なんだ、こいつ。文明が劣っている、俺たちのことを馬鹿にしやがって。

 

 似合わないだと?「お前たちには不釣り合いだ」って言いたいのかよ。

 

 そんな気持ちを押し込めながら、地球人側の代表は会話を続けた。地球よりも高度な文明について研究ができれば、多くの利益を得ることができるからだ。

 

「ありがとうございます。」

 

「それじゃあ そろそろごはんのじかんなのでかえりますね」

 

「いや、あの、この乗り物はいらないんですか?」

 

「それ ただのふく」

 

 すると、Yは自身の身体能力のみで、宇宙へと飛んでいった。

 

 

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高度な文明 鯨飲 @yukidaruma8

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