引きこもり妹と完璧な姉

ネルシア

引きこもり妹と完璧な姉

ふと思えば私の妹はいつも母親に怒られてた。


なんでお姉ちゃんみたいにできないの?

と。


私は別に努力してるつもりはなかった。

でも勉学は出来た。

勉強するのは苦じゃない。

スポーツも得意。


2人きりになると楽しく遊べる。

でもとうとうそれさえ出来なくなった。


妹は不登校になり引きこもってしまった。


後でスマホで聞いた話だといじめられたらしい。

私がいない時に母親に相談してもあんたが悪いと言われもう部屋の外から出る気も無くなってしまったようだ。


私は毎朝毎晩欠かさずドアの向こうの妹に声をかけた。


「行ってきます。」


「今日学校でこんなのがあっておかしくて。」


「おやすみなさい。」


返事はない。

笑い声も聞こえない。

でも、話し続けた。


だって……好きなんだもん。

姉妹の好きとかじゃなくて……。


私はショートの方が似合うって言われて髪を短くしてるけど妹はロング。

本人曰く髪を切るのがめんどくさい、だそうだ。


私は周りに合わせられるけど妹はそれが出来ない。


嫌なことは嫌って言う。


だからこそ他人からは鬱陶しがられたのだろう。


でも私にはないその強さが好き。


ある日、夜目が覚めてしまい、部屋の外を出ると妹のドアが空いていた。


出かけたのだろうか。


好奇心に抗えず部屋の中に入る。

ゴミで溜まってて臭いも酷いのかと思ったけどそうでもなかった。


ちゃんとゴミは出している上に換気もちゃんとしているようだ。


机の上にはパソコンがあり、電源が着いていた。

パソコンに絵をかける道具が置いてある。


ついさっきまで描いてたのだろうか?


そして画面には私そっくりな女の子と妹にそっくりな女の子が戯れていた。


きゅうと胸が苦しくなる。


「お、お姉ちゃん……?」


コンビニの袋をどサリと落とす妹。


「ご、ごめんね!!

好奇心で入っちゃって……。

も、もう行くね!!」


慌てて部屋を出る。


ベッドに入っても胸の高まりは収まらなかった。


「……あの子があんなの描いてるなんて。」


そっと自分の唇に触れる。


「……妄想してたのかなぁ。」


そんな妄想をしては振り払いを繰り返しているうちについぞ寝ることが出来なかった。


次の日、妹に声をかけることが出来ず、学校に着いた。


授業内容も頭に入ってこない。


「おーい、おーい。」


肩をつつかれてふと我に返る。


「な、何?」


はぁと溜息をつく友達。


「今日ずっと上の空じゃん。何かあったん?」


「あ!!もしかして恋じゃない?」


恋と言われて顔が赤くなる。

誤魔化すことも出来ない。


「……ありゃぁ、こりゃ相当重症ですね。」


「気になる御相手は誰なのか……。」


「か、勘弁して〜!!」


その日は一日中その話題に振られっぱなしだった。


「はぁぁぁぁ……疲れたぁぁぁ……。」


自分の部屋に戻ると妹が立っていた。


「た、た、た、だい……ま。」


「……おかえり。」


気まずい沈黙。


「……はぁ、黙ってても無意味だよね。

お姉ちゃん。」


ボサボサの髪に窪んだ目。

でも目は死んでない。


「な、なに?」


「私……ずっとお姉ちゃんが好きだった。

お母さんに怒られた時も庇ってくれたり、

慰めてくれたり。

ほんとに嬉しかった。

だんだん想いが我慢できなくなっちゃって……。

ごめんね……ごめんね……。」


涙がボロボロと零れている。


「なんで謝るの?」


「だって……こんな奴に好きなんて言われて迷惑でしょ?」


「バカ!!!!」


妹を強く抱きしめる。


「私だって……私だって大好きなのに!!

そんな事言わないで……。」


2人で大泣きする。


しばらく泣いたあと改めて距離を取り、互いを見つめ合う。


「大好き。」


「私も。」


互いの手を取り合い、指を絡め、口付けを交わす。

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引きこもり妹と完璧な姉 ネルシア @rurine

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