424 魂胆
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
3/8 13:25
周囲がバタバタと動く中
銀髪の少女?だけはペースを変える事無く、皿のラストをフォークで刺す
するとソレを片手に席を立った
機嫌を損ねたのか
はたまた次の食材を求め、自ら厨房の元へ向かおうとしているのか、、
三十路は言い過ぎてしまったのかと不安になりつつも眉間に皺(しわ)を寄せる様、強く目を瞑った
(確か、入って右手側にはカット済みの鶏肉が漬け込んである 手前には野菜もあったっけか)
想像するのは次のテーブルを曲がった先
かなり途中の状態で飛び出してしまったからこそ完璧には思い出せない
(けどシエルの事だ、癇癪(かんしゃく)を起こして引っ繰り返すなんて事はあり得ない、漬け肉だって調理した方が美味いの知ってんだし)
(、、流石にそのままではいかない よな!?)
だが
!!?
思い出してしまった
ヤツは何でも食う
では 無く
次の配給用にと寝かしてある寸胴
モツ汁があるって事を!
ジンは目を見開き、追加の乾いた布をやっちまった本人へと握らせ
巫女の進行方向へと向かう
(や、やめてくれ)
アレは まだ
(臭みを消してる途中なんだから)
っと言った感じに一人脳内で茶番を繰り広げてみたものの
全ては否である
そもそもの話
三十路の一喝如きで天下の巫女様が動じる訳も無く
いつもの様な涼しい表情で隅のテーブルへと移動し終えている
ソコに次のモノを持って来いと言う事なのだろう
皿も敷かずにフォークの先端に齧り付いている
その行動が少しばかり素直過ぎて不安になったのか
今度は大瓶を持った赤鬼が絡みに行った
「カカカカ、まぁ今回はジンも考え過ぎての発言って訳でも無さそうじゃからのぉ とりあえず飲むか?」
(違った、心配してとかそういうの関係無く、早く飲みたいだけっぽい)
すると続けて気の利く従者が外の連中に皿を配り終えたのだろう
「きっとシエル様のお行儀が目に付いちゃってイラっとされただけですよ」
当人の前に綺麗なグラスを並べる
(あれ?どっちみち俺が原因みたいになっちゃうね?)
「お~お~それだと連日気張ってるシエルの方が可哀想な気もするのぉ」
(え、待って、凄く配慮が足りないみたいにしないで?)
・・・
うん、話が進んで無いぞって?
違うの聞いて?
仕込み途中の品もあるから厨房の様子もみたいし取り皿とかも綺麗に下げたりしたいし
なんなら
(まだギャルがサラダを食べてる途中でしょうがああ)とかも浮かんだけど 色々待って?
だって、警戒してるだけでもイッパイイッパイだっつぅのにこの娘
スゲエ食うの遅いんだよ!?
良く噛んで食べるのは良い事だ、良い事だけどさ!?
でも、まぁ、せめて聞くのは野菜食い終わってからにしたろって思った訳よ
んでまだ食ってんだよ
そのせいで皆の動向が先に耳に入っちゃうんだって
しかもさ?
前菜の後はしっかりご飯も食べてくとか言うんだよ
一瞬「は?」って思ったけど今の俺は冴えてるからピンと来たね
これはきっとあれだ
わざと食べるのを遅らせて情報を聞こうって魂胆(こんたん)なのだろうと
意外にも姑息な手を使って来るじゃあないか!
だがなぁ、こっちだって折角距離を取らせる事に成功したんだ
させてなるものか!!
と
頭の中では早口に
自身を鼓舞してから
「なんで来てんだよ 約束?が違うじゃんか」
小声で浮気現場を誤魔化すかの様な台詞を口走った
んだけど
含んでいた物達を強引に飲み込んだピンク娘からは
「むぐぅああああ ごっほ、ごほ、なんスか!?顔 近ぇんスけど ぇ? なん?約束?」
なんか良く分からないテンションが返って来た
しかし
その後すぐ理由を吐き出すヴェヌに
驚くべき真実に
開いた口が塞がらない
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