416 隠蔽
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
3/8 10:16
正体不明
ソレが『何』であるのかという事自体は然程(さほど)重要では無い
大事なのは今どうするべきかの判断と決断だ
飲み込まれた箇所に熱や痛みは無く
ソレ自体に触れたからといって危険を感じる様なモノでも無いと悟った
(だが、消えた女を目にした以上、、)
肘を覆う程にまで侵食を増した歪みを冷めた瞳で確認し
地にへたっていた糸を素早く手繰り寄せ
今も感覚が残っている部分だけでは無く、肩から先
以前猫娘に持って行かれた三角筋周辺を
靭帯を避け
切断
離れた部分には目もくれず
つい先程脱ぎ捨てられた白衣を先端に被せ飛沫を抑えた
「っ はぁ まぁ、時々疼くのでタイミング的には丁度良いとでも思っておきましょうか」
軍師は赤く染まっていく部位を睨み付け
苦虫を噛んだ表情で直ぐそこにある医務室へと進む
「うわあ!レイ様!?」
「な なっ!なんてお姿で」
「申し訳ありませんね、救助の途中で事故りまして 軽く処置の程、お願いしても宜しいでしょうか」
「軽くと言われましても、、こんな」
「どう しましょうか」
医務員達の目線、その先にいるのは恐らく責任者なのであろう
重役の危機に
「あ、あぁ まず その 欠損部分との結合を視野に入れながら止血を だな?」
見定める方向が定まらない
勿論切断した先、失くした腕自体が異次元に飲まれてしまった為そのままくっ付けるという事は不可能である
早々に話を終える様
「えぇ、意識が飛ぶ事だけは避けたいので」
爽やかに
「速やかにお願い出来ますか?」
この場を収めた
のだが
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ ボンッ! ドカーーン!
またも地響きからの破壊音が始まった
「おわぁ! だ、脱出が先でしょうか」
「しかし、今動く訳にも」
「輸血準備を」
「此処まで聞こえてるんだ、これは災害どころでは無いのでは!?」
原因は分かっている
「レイ様!」
「レイ様」
「レイ様ぁ」
(全く)
「どう い、如何(いかが)致しましょう」
(実に)
面倒だ
地下と言うにはまだ浅い
人が行き来している層
「化物だ」
「に げっ ぶぇ」
「た、すけ」
少女が一人
涙を流し
歯が折れる程噛み締めたのだろう
血と泡を吹き
暴れている
「キドナ!」
とりあえずとばかりに名を呼んだのは監視役だ
落ち着けと言った所で無駄な事は分かっている為
腰の革袋に手を滑らせ、標的である小さな背中へ照準を合わせ
パァンッ!
鉛の玉を撃ち込む
それ程衝撃のある物では無かったのだが、軽い体は比較的に良く飛んだ
反った身体は脛と膝を擦り反射で下腹、斜めに頭を打付けた後は無様に転がり肩を削った
勢いを殺した子供は視線を揺らし
「 こんなの下らない 下らない!!なんで?だってズルいじゃないか!!どうせ、知ってるし ほらアイツの研究なんてさ?僕にとって何も意 いい˝意味なん˝ ぁ˝?ぁ˝ぁもう、血が!気持ち悪いなぁ!」
近い天井を確認してから
「ニールゥ!! お前も僕を裏切るのか!?」
意味不明な言葉を叫ぶ
「はぁ、此処まで来ると明日明後日では無く戻り次第診てもらう段取りをつけねば、、か」
男は溜息交じりに周囲を見回し
銃を仕舞うとまだ息のある者達の救助
いや
証拠隠滅を急ぐ
・・・・・・
「本当にやれやれですよ、流石に完敗続きは苛立ちますねぇ」
男は消えた女の位置をじっくりと観察し
合流した従者と情報を共有する
「しかし、レイ様が負傷するとは、、申し訳御座いません、キドナの様子よりも処理に時間が掛かりまして」
「ニールがどうとかではありませんよ、情報自体も曖昧でしたし私自身びっくりです ですがあれ程まで知り過ぎている者が居るとは」
「知り過ぎている、、キドナが何か知っていたりはしないのでしょうか?」
「そうですねぇ きっかけがあったのでしょうから機嫌が悪い状態でも聞く価値はありそうですが、、ふむ、そういえば地下は視察しましたか?」
「いえ、口止めだけでもかなりの広さでしたので」
「やはりそうですか はぁ そっちは後にしましょう、全く」
「人材不足と言うやつでしょうかねぇ?」
二人は発狂する少女、、であった肉片だけを持ち去り
何も無かったかの様に施設を後にした
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