397 浸潤
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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私事、、いや、特別内緒にしている話とかそういう意味合いでは無く
言えば無意識、言うなれば生きて来た中で自然と身に付いた『特技』とでも呼べば良いのか
人の名前を直ぐに覚えてしまう癖がある
名刺なんか貰わなくても、電話対応だけで十分だ
これは営業職上がりだからとか管理職を多少齧(たしょうかじ)ってたからとかじゃなく
多重人格障害の子と付き合ってた事があったから
名残みたいなもんだ
でもまぁ、今はそんな思い出話をしている暇も無くて
瞳が合わさったからこそ
「 ヴェ」
ヌ
なんて言ったなら色々と終わっていたのだろう
危うい所をまたも救ってくれたのは吸血鬼の幼女だ
「クレームとかじy っぷ」
とか大きな声を出しながら尻に突っ込んで来た
だから少し尻が冷たい
それと
「あ!あ あ アァ↑ジン殿、あのあのあのの残っていた分とかの!全ての、あ、いや全部のじゃなくてだn」
口を酷い形にしたエルフが早口に
意味分からないノリで寄って来た
そして、タイミングは今じゃないのに望んでいた『いつもの通り』が始まった
「う~、危うく『全部』溢しちゃう所だったのよ」
「お嬢様ぁ、持って行くんでも先にお料理からお願いして良いですか~?」
「ま、ままま、薪割(まきわり)は済ませたのだg」
「ジン!クレームとかじゃないのだわ? よ」
「あ~ジンよ、表のおっさんらに持ってったは良いんじゃが皿が多少足りんみたいでの?」
「だからあのね?コレとか多めに振ってみたら大丈夫だと思うの!」
「素手でいっとけと言うてはあるがどうしたもんかのぉ」
「皆さん仲良いっスね!」
「 おかわり」
ガッチャガチャ
ガッチャガチャだよガッチャガチャ
流石だよ
有難く、周りが掻き消したから
「ん、あ、あぁ、うん ゼンブワカッタヨ?」
我に返った三十路は当人からゆっくりと視線をズラし片言で精一杯の返答をした
どうすれば良いのか
どうするのが正解なのかを考える為
一度見開いた瞳を雑に拭い
「えっと、あ~ドレッシングは此処で簡易的なの作るから皿はロゼが持って来てくんね?多分シフが洗ってくれてるから あ、あと一緒にオリーブ油、、そしてシエルは目の前にあるのを自分でよそってくれ」
幼女から大分零れた両手一杯の調味料を受け取り
再度様子の可笑しなエルフ側へと目を向ける
(少しおかしいのはいつもの事なんだが)
「ラフィ、もしや飲んでる?」
「あ、え、いや、私は無事 なんだぞぞ?」
「おん、安否とかは聞いてないんだわ? カセンちゃん?なら何か知ってる感じ?」
赤鬼では無くボールと調味料を確認しながら調合を開始する
「カカカ、何やら色々と思い出したらジンを見るのが恥ずかしくなって来たらしいんよ」
「うん?ナニソノ長時間差 しかも俺に対してだけって謎過ぎない?」
「まうぅ」
口元をヒクつかせながらモジモジとしているエルフの姿は何処か初々しい
と言うか可愛らしいと言うかムズガユイのだが
悪い気はしない!!
「あの、わ 私も だな、ありゅル(アル)みたいに少し料理とか 教えを乞うてみようとも考えたのだがどぅだろう?」
詰まりながらも勢いが凄い!
「どぅとか言われても、全然良いけどさ」
「駄目だろうか」
「良いってば、駄目って言って無いでしょう?」
もしかして俺の事好き!?
とか思いたいんだけど
隣のギャルが気になってしょうがない
だって当人ガチでにっこにこ
「え~w教えたげりゃ良いじゃないっスか~ww ってか何スか?そんなガン見とかロリコンなんスかぁ?」
危機感とか関係無くガヤってやがる
味方側も酷いからこそなんだけどどうしたものか
・・・
ゴッチャゴチャの中ドレッシングを自作していると
ふと気が付いた
(この勢力差って 逆に今、チャンスなんじゃね?)と
だが
チラリ、往復して来た赤鬼を見ようにも
「ネェチャンも飲んだら良い」
って感じのエロオヤジみたいになってるし
第二巨頭のもう片方
巫女様の温度を確認しようと思ったが未だモグモグタイムが終わっていないらしい
と言うかこっちなんて一切気にせず手紙とか読み始めちゃったりしてるからどうにも出来る気がしない
、、まぁ、短い文章の物なんだが
ソレは今朝、俺の二度寝中に怪力娘達が受け取った物だ
だからこそ 俺のテンションはずっと高い訳で
そんなコウさんの使いから届いた紙には分かり易く
「青年は無事、別へと移した」
と
簡易過ぎる
殴り書きの汚いメモだけが届いた
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