385 閑話
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「あえいうえおあ~ キッチィ」
響く、、という程でも無いあたり声の主に悪気なんてものは無いのだろう
ナイフとフォークを丁寧に重ねてから自らの腹を擦る
その向かい
「どこかにそっち系で勤めるのかしら?すんなり言えて余裕たっぷりじゃないの、、でもまぁ、この娘ったらま~ったくおごり甲斐が無いったらありゃしないわ?」
ゆったりと傾けていたカップを皿へと戻し
呆れ顔で空いた方のグラスを掲げる
「うん、どうもありがと、対応早くて助かるわ あとねぇ店員さんお願いがあるの、さっき頼んだデザートなんだけどゆっくりで良いから持って来ちゃってもらっても良いかしら? そうそう、じゃあ取り皿も念の為お願い出来る?」
丁寧に手を振り終え
注がれた水を目の前へと差し出す
舞台はメインとなっている場所『王都』
警戒状態にも拘(かかわ)らず、逞(たくま)しく通常営業を行っているのは南区の一角
少し高価な価格帯の飲食店である
今もあちらこちらで賛称(さんしょう)の声が上がる店内はシックな造りでありながらも清潔感が溢れ、飾りや装飾品にも嫌味が無い
一つ一つが出しゃばる事なく綺麗に仕立てられているのは壁だけでも無く、地味な筈の床色全体が艶やかに磨かれている
シンプルイズベスト! とまではいかないまでも非情に心地の良い時間が手に入る事に違いない空間である
場所が場所
行儀が良い訳がないのだが
「お水うぇえい けどダメ、もぉ駄目 気絶しちゃうッス、お腹と背中が離れ離れになっちゃう」
薄着の少女は構わず今も合わぬ台詞を吐き、テーブルの端に突っ伏す
「止めなさい?此処ねぇソコソコ高級なお店なの 世間知らずも流石に空気読みなさい?」
「ohそうッスよね サーセン」
その表情、余裕があるんだか無いんだか良く分からない表情を浮かべている
「なぁによ!随分ご機嫌斜めじゃない 美味しく無かったの?」
「いあー違ぇんですって、、ご飯はスッゴイ美味しかったッスよ?そ~いうんと違くてーまぁ、食べちゃったからこそヴェヌちゃんは限界を迎えようとしている訳でして~」
・・・
「太るからって事よね?」
「あーうーパンパンのポンポンじゃあ人前で踊れないんスよぉ」
「んもぅ、そんなの来る前から覚悟しておきなさいな アタシは夜勤明けみたいなモンなんだから遠慮しないわよ?」
「ってかマジ苦しいのも事実」
「けど食べるんでしょお?」
「、、た、食べろって言うんなら致し方ないデスネー」
「はいはい、ほらっ!店員さんが今か今かと見てるわよ?そのお皿端に退けなさいな」
「罪悪感がががが」
狂気
はたまた悪辣(あくらつ)等と言う言葉が微塵も似合わない少女はニコニコと嬉しそうに
それはそれは綺麗に並んだフルーツモリモリのパンケーキを残さず平らげた
「ぃっゃマジホントそろそろ玉肌に支障出るし太るs」
「でも今から寝るんでしょ?」
「 マジナミダどころじゃねえヤツッスからね~ マジ吐きてぇあうあうあー」
「もぉ~あのねヴェーちゃん、多分さっきからアタマオカシイ子だと思われてるから帰る準備しなさい?」
悪態とまではいかない?知った仲の小言を吐き
整った顔立ち、金髪青眼の男は手持ちのカバンからストールを取り出す
「あ、サーセン、アザス」
「もうちょっと周りに気を使いなさいよね? あ、けどコレアンタにじゃないから」
「えークソイケメンっスか?優しい振りだけっスか~わざわざそんなの持ち歩いて~」
「、、面倒臭いわねぇ 寒いからに決まってんでしょ? あとね、ヴェーちゃんちょいちょいおっぱい見えてたわよ?」
「な˝!」
「あのね、あまり人の服装にケチつけたくないんだけどもう少しだけ考えた服着なさいよねー? 冬にそんなのお腹に悪いったら無いわ?」
「 ぇ アレっスよね上チラ程度って事d」
「払っとくからちゃんとシュっとしてから出なさいよね? あぁ後」
「もう一枚あるから勝手に取って羽織りなさい?」
「 直ぐ言えし」
店を出ると少しだけ辺りを練り歩き
噴水近くのセンス良さげな服屋で可愛らしいケープを購入
手配された宿へ着いた途端に爆睡した
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