376 騒劇
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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冬場のこんな時間だ
顔面が痛い
気温が気温
先程まで強風が吹きつけていたのが原因なのは百も承知
だが
しょうがない
少女は瓜二つの姉妹とは別のスピードで到着寸前の所だ
【ふむ、ではコレを使いなさい】
嫌がる間も無く強引に被せられたのは大きめの皮頭巾
息を止めたくなる程、今も臭いが充満している
具体的には油が酸化した様な年配の方特有の、、
では無く、別の意味で息を止めたくなる様な
煙草とソレらを濁らせている香水の臭い
それはあまりにもカオスや混沌と呼ぶには優しくも近しい無秩序状態
なんせ当初嫌悪感まみれだったコレが無かったのならたちまちに体温が奪われ眩暈(めまい)からの強烈な頭痛
そんなデバフ、騎馬状態では命に関わると言う物
現に手綱を握る布で出来た袋の下は感覚が無い
いや
何を今更
キマイラの方が速度は出ていた
関係無い
身の痛みなんて尚更の話
今更そんな事
恐れと呼べる様な事柄では無いのだから
湯気が立ち昇る早馬を一撫でしてから一言
「ありがとう、頑張ったね」
小さく呟いた少女は勢い良く飛び降りた
此処は王都の西門
数メートル前には甲冑姿の兵士が数人
確認出来るだけでも五人、、恐らく弓兵も後方、もしくは建物の影辺りに居る筈だ
何分、聞いても居ないのに『王都で何があったのか』を頭巾の主から報告されたので緊張が走る
警戒されぬ様、松明(たいまつ)を灯し
少女は大きく声を上げる
「す、すすすすすいません!大友(王都も)大変ぬぁ大変と 状況が 危険で危ないと聞きましたで!です が」
本人は至って真面目だ
何処ぞのエルフ
またはソレの親みたいな事がしたい訳では無い
ここまで来るだけでも数時間、考えるだけの時間は余る程にあった
何をすべきか、何を話すかくらいは伝えられる筈なのだが
口から漏れる言葉は
「あ、あのあのあのあのそのそのそのその」
変わらずのままだ
寒さ
それと
(ここまでの時間だけでも皆さんが、、早くしないといけないのに、早く!巫女様を連れて)
不安と焦燥
自らが枷(かせ)たソレは勝手に膨らみ
時間が経てば経つ程、苛立ちを覚える程に呂律(ろれつ)が回らない
そして追い打ちをかける様に
「何かと思えば女が一人? しかも 子供?」
「積み荷すら引いていないな、様子からして商人でも無さそうか」
「巫女様からの伝達にあった通りだ、相手側の正体が分からない以上油断はするなよ?」
行動するのは少なくとも三人一組
しっかりと警戒されている
少女は
「こんな時間n」「たたた、助けて下さい!」
改められず
「何者d」「直ぐ門を開けて下さい」
だが責任を全うする為
「おい、何か証明出来r」「すみません!さ、先程も言った通り王都がが大変な状況と言う事も聞いてはいるのですが直ぐに通して下さい」
強引に行った
・・・
ので
(え?) (これは) (どっち?)
と良くも悪くも場が混乱した
だが
それを直ぐに収める為、物陰からもっと混乱させる様な
「ふっ、うふふ、あら なぁに?その娘、怪しくもキーマンの登場で良いのかしら?」
高過ぎない声がした
「「「 副隊長 」」」
「こっち側で張ってた意味が十分にあったじゃないの」
その姿
その言葉の意味を理解したケイは目を見開き
「あ、怪しい者ではありまs」
腰元の
頼りない武器へと手を回す
のだが
構えたとしても意味を成さず
バンッ! とか ドンッ!!
そういう現代的な
良くない凶器の音が響いた
「ごめんなさいね」
咄嗟だったからこそ
微塵も動けなかった
彼女?の放った銃声と台詞は
「ちょちょちょ、『お姉ちゃん』が来たトコで成功なんスから」
ギャルが間に入り
「スワっさんくらいはちゃんと味方で居て下さいッスよぉ」
別の意味でも騒がしく流された
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