345 悪戯
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「あ ぁ なんで、なんでこんなところに!? あっああぁあああ」
強固な甲冑姿の騎士
その目の前には
「ギギャア」 「ギャア」 「アアアア」
「ギィギィ」 「ゲェゲェ」
と気味の悪い声を上げる蟷螂が五体
それと
「ヴゥ、ウア˝アアァッ!」
腹にも響く雄叫びを上げる
牛頭が一体
それらは突如、いや 正に『突然』として現れた
今まで何も無かった空間から、気配も無く、、
理解が追い付かない
此処は中央区だ
すぐ後ろには修復したての強固な門
少し距離を置いてから綺麗になったばかりの城が聳(そび)えている
此処は! 中央区!!
王都の中央区、、王の喉元、関所前なのだ
なのに? 何が どうなっている!?
急な訪問者に思わず尻を着き
武器を手放した
何も分からないままに瞳を見開き
口から出る言葉は
「た、たす たすけ」
近くに居た筈の仲間へと手を伸ばすが
「ひ、ひぃあああ わあああああ」
その手を掴む者は無く
ドガン!
目線を動かした先の男は
もう一体現れた牛、その剛腕で殴りつけられた
鋼を殴りつける鈍い音の後には
「ギャアギャア」
と異形の甲高い声
ギィィン! ガキン パキンと容赦なく鋼を斬りつける嫌な音
小さく悲鳴の様な、うめき声も聞こえた筈
痛いのだろう、怖いのだろう
その者に憂い 自らの未來を嘆き
諦めた
瞬間
「らぁ! どけぇ!」
怒声が響く
と同時! 光線が自分の上を通過した
ソレは確認出来る限りで四、五発
鏃(やじり)の様な塊が相方へと群がる蟷螂の胴やら頭部を射抜く
そして、再度詠唱を行い
「てめぇは戦うか逃げるか選べコラ!」
しっかりとその綺麗な瞳を合わせる、、事などせずアーマー部分に蹴りが入った
次の瞬間
少女?の両腕から光が飛ぶ
強弓から放たれたかの様に
槍程の大きさをしたナニカが両方の牛を貫通した
「た、戦います!」
戦わなくては と思った
残ったのは近くの蟷螂が五体
この小さな背中だけに全てを任せるのはあまりにも、、
落とした細槍を強く握り直し
顔を上げた
先には
「ヴモォオォァ! ヴア˝アアァァァァ!!」
先程よりひと回りもふた回りも巨大な牛人間、、では無く
ソレは
もはや怪物
絵に描いた様な
ミノタウロス
「ちっ、くそが、、コイツもまだ息あるから早く内部に連れてけ 私がまとめて面倒見てやるからさっさと知らせて王都全域に向かわせろ」
「し、しかしぃ!」
「良いから退けぇ!!」
小さな銀髪少女?が大きくがなる
「すいません! 申し訳ありません!!」
近場に走らせる馬は無く
「巫女様! すぐに!! 隊長たちをぉおお」
仲間を背負い
わたわたと情けない形で駆ける
そんな一般騎士を尻目に
「けっ、こんなトコに大物呼べんなら初っ端からやれっつぅんだ」
大きなイベントが出来る様にと門前も綺麗になった中央区
それは運良く住民が住んでいない地域
(一旦蟷螂は無視だ)
少し後ろへと飛び
(相変わらず動きは遅ぇ)
詠唱を
(頭か首抜けば変わらねぇだ、、ろ!?)
唱えきれず
「っっく」
飛んで来たバトルアックス、、やハルバードの比では無い大斧をギリギリで躱(かわ)した
が
!!?
「避けろぉおおお」
逃走中の騎士へと叫び
後方を向き終えるより先に
ゴガアアァン!!
爆弾でも投下されたかの様な土煙と地響き
その音に混ざり
「わあああああああああああああ」
「おおおおおおおおおおおお」
と
歓声が上がった
「なんじゃ? シエルもこっちにおったんか」
右手首を擦り
馬から降りた赤鬼が戦斧を軽々と拾う
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