343 危機
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「大丈夫、大丈夫ですから皆さん落ち着いて下さい!」
中性的な顔立ちの青年は片手を挙げ、大聖堂の門を閉め終えてから
「あ、丁度良い所にキウエさんっ! こっちお願いして良いですか?すみません」
近場に居た体格の良い初老へ声を掛ける
「え、あーうん、良いけどシフ君さぁ?それならみんな家帰らせた方が良いんじゃないの? 狙いは巫女様なんだろう?此処に居たら尚更ヤバくない?」
悪い意味で問いている訳では無い
これはあくまで巫女の邪魔にならない様、自分達なりに考えてどう動けば良いのかを模索してからの発言だ
「皆さ~ん良いですか~?何も問題ありませんので此処でシエル様の帰りを待って下さい、余計に被害が広がり兼ねませんので無暗に動かない事!」
跳ねた髪の青年は大きく身振り手振りをしてから小さく続ける
「いえ、そもそもシエル様狙いなら一番に此処を狙う筈、恐らくこの襲撃には別の狙いがある」
「そうなの? うーんだけど、巫女様が帰宅中に襲われている可能性だってあるんじゃ、あ!ダメダメー 出ないでって言ってたでしょ」
「それは無いと思います ので此処はお願いしますね!」
シフは詳しい説明まではせず
身軽に門、壁を蹴り上がると助走を付けて馬小屋方面へと目掛け飛ぶ
「もう、シエルちゃんったらこんな時に何処ふらついてるんだか」
「本当に自由奔放な子なんだから~」
「シフちゃんもなんで今日に限って別行動してるんだい、全く」
好き勝手言う者
「まぁまぁまぁ、みんな大変なんだから勝手な事言わない」
周囲の年配者を宥(なだ)める者
「巫女様助けに行かないとだろ!? 何やってんだ、門開けろって」
「馬鹿野郎が、シフ君が待ってろって言ってたべ?」
多少の小競り合い等々
だが
此処に居る殆(ほとん)どが知った仲であって日常茶飯事、悪気がある訳では無いのだ
それ程問題視せず
とにかく今は頭の中をまとめるとしよう
単純に人質のいる所を狙った方が逃げも隠れも出来ない、此処が一切手を付けられていないんだ 今回のケースはシエル様狙いでは無い
しかしソレを今までして来なかったのにも意味がある筈だ
例えばフォメットの様な魔族や別組織の関与、いや、国絡みにしない様にディーン側が配慮していたと見た方が無難か?
なのに今になって王都内でのトラブル?
やり口が違い過ぎる、こんなにも分かり易く国を敵に回す訳が、、そもそもタイミングが良過ぎる
と言う事は
賢者の石
ジンさんが狙いか
「騎士の方達が直ぐに到着する筈です! 的確な指示があるまで!シエル様の為にも怪我の無い様にお願いしますね」
青年は荷馬車へと駆け込み
酒類と共に置かれた砲台、の近くで雑に転がる一本の剣を手にする
王都の北地区
「おい! おいいい!! なんだ、どうなって あっ ぐああああああ 」
「たっ、たすけ」
「なんで!?」
「火の手、魔族が攻めて来たのは南地区じゃないのかよ」
此処は
「逃げろ!! 騎士様達が来るまでっ逃げるし か」
王都の北地区
「あ あああああ˝あ˝ぁぁ˝」
巫女シエルが手土産を放り投げてから
約二時間後の世界
「ちょっと! 此処開けて、駄目お店から出ないと!」
「姉ちゃん!出て来ちゃ駄目だ!! 窓からにげ」
「キャーーーー」
「姉ちゃん? 姉ちゃぁぁあん!」
目の前の化物から目を離し
ガチャン
ガシャンガシャン
と
振りかぶる鎌から 破壊される音
閉め切った扉を開き
くちゃくちゃ
メキメキ ぐちゃぐちゃ と
咀嚼する音
亭主が居ればこうはならなかった、人選をミスしたかの様に
「ね˝ぇちゃぁあぁあん!!」
選択を間違えたかの様に
ならず
「今日から店任せたって言われたと思ったらコレ!? 嘘でしょ?」
兎耳少女
もう一人の従業員が蟷螂を蹴りつけている
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