336 凶手
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
3/5 4:00
「オッケーっス大丈夫ですよぉ、ちゃんと慎重に動きますってば~」
少女が荷物を乗せ終え
馬へ跨(またが)ると招く様に手を上げる
「私達まで失敗は出来ないですからね、くれぐれも注意して動いて下さい」
「あっははは、もぉ心配性っスね~でもほら!どっちみち自分一人じゃ大人数は相手に出来ねっスから」
「その言い方だと一対一なら手を出すと言っている様なものです、巫女を見つけたからってその場で切り捨て無いで下さいよ? あくまで視察として徹底、無理はしない様に」
「はいはいはーい分っかりましたよー とりまレンちゃんとスワっさん帰って来たら電話下さいっス」
「えぇ、一報入れておきますのでしっかりと機会を見てから連絡下さい」
「了~解っスちゃんと不審がられない様、周囲に気を使いまーす」
いい加減しつこく感じたのか、わざとらしく敬礼のポーズをとってから
思い出した様に続ける
「あ!そうそう自分が居ないからってキドナっちにレンちゃん渡しちゃ駄目っスからね?」
「まさか、、そんな真似しませんから安心して良いですよ」
「でもな~最近レイ様もなんだかなぁってトコあr」
「口が過ぎるぞ!」
即座に青髪の従者から注意が入った
ので
「おおっとさーせんっス じゃあそろそろ行って来まーす」
逃げる様に方向を変え馬を走らせる
「全くあの娘は常識が無いと言いますか、、」
「良いんですよ アレくらい掴み所の無い方が、きっと吸血鬼や魔族連中なんかよりもよっぽど役に立ちますよ」
「そんなものでしょうか?」
「えぇ、彼女は侮れないと思いますよ? さて、ニールはこのままキドナの所へ 可愛いキメラ達に取り付けるという物の確認と点検をお願いします、この機械同様にどの様な物なのかいまいち想像出来ませんので」
「あの娘が居ないと使えない等々言ってましたからね、自分も理解出来る様に傾聴(けいちょう)します レイ様は?」
「私は吸血鬼にあの店の場所を伝えて来ます、王の情報通りなら次は殺生石の方に向かう筈ですから、そうなれば戦力は明らかに割れる、バミー候には総戦力で向かう様に誘導しますので流石になんとかするでしょう」
「吸血鬼が六人、凄まじいですね」
「それでなくても、、あれが本当に暗黒候なのだとするなら一人で騎士団を相手に出来ますよ」
「あの娘の情報が来れば戦力も大体読めますし、レッドナイトが居ないとなれば問題無さそうですね」
「はぁ さっさと次の段階に進みたいものですよ、本当に」
3/6 20:00
まだ寝静まるには早い時間
だが町灯りなど届かず
光は然程(さほど)明るくない月明かりのみ
暗い深い森の中
木の間から六つの影を微かに照らす
「・・・だそうだ よって赤鬼も居なければ巫女も居ない」
「ロゼッタ嬢もあちら側か、それは助かる」
「アレはどうにもならないからな」
「懸念すべきは戦姫か」
「たかがエルフ、バミーの旦那がやってくれるんだろう? なぁ」
「だがあんな辺境の店一つやるだけって、こんな上手い話あるものか? バミー候を信用していない訳では無いが奴らは何を考えている?」
真っ赤な瞳を光らせ、その視線は話を始めた中央の男に集まった
「うむ、まぁ待て まず言っておきたい事、ディーン国家への忠義についてだが」
個々の意見を十分に聞く様に相槌を行い一度全員を見回す
「、、正直、私事、話を聞いて来た限りだと今後裏切りも予想されると思う言動が幾つかあった」
「なっ」
「ちっ、解せぬ」
「やはりそうであろう」
「あの愚王めが」
「使い捨てという訳か」
と言う様な周囲のリアクションのまま
バミー候は続ける
「我らが旗を翻(ひるがえ)す頃合いになった、と言う事だ が!今回までは掌で踊る道化として舞っていようと思う」
「様子見か、今回の仕事も情報を吸うには悪い話では無いが」
「しかし!戦姫はどうする」
「ククッ、たかが小娘に何を狼狽(うろた)えている?」
「エルフ如き私一人で皆殺しにして来るとしようか」
漆黒の森から一つ
狂気の風となった吸血鬼がギルドへと向かう
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