329 用途
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「巫女様、相談なのですが 今大丈夫ですか」
青年はお布施、、では無く
自分の皿から大きめな芋を一つ少女?の皿へと転がす
「腕輪の件か?」
頭の隅(すみ)にあったのだろう
手持ちのフォークで一刺しすると的確な台詞を並べる
「えぇ、とりあえず俺は西の大陸に向かってみようと思うのですが どう思いますか?」
「むぐむぐ むぐむぐ まずお前がどう考えてるか並べてみろ」
「え、あ、はい では、シフみたいには上手くまとまってませんが幾つか、、」
バルは現時点で目の前にある課題を述べてから自分の情報を擦り合わせる
まずはその課題についてだが、至ってシンプル単純な事
王子の形見である腕輪
真宝具を使いこなす事 それだけ
それだけではあるのだが、、正直お手上げ状態なのだ
決して視野が狭いだとかそういう訳では無い
これには見識(けんしき)深い天下の巫女様も同意見で
以前「戦力に」とは言ったものの、コレを媒体にしてどんな魔法を使えば良いのかが全く思いつかない
何分、物が物 『腕輪』 な訳で
ラフィの大剣とは違い用途が分かりづらいのだ
勿論シエルも何か秘密があったりするのだろうと考え、王都に通う度に調査をしている
王へと報告のまま貴族を含め聞き込みをした結果は「恐らく王家の証」程度
地下へと足を運び大臣であったフォメットに様子を伺うも未だに一切動かず梨の礫
殆どが謎のまま
だが、思い返せばあちら側の動きにも不明点が出て来るもので、、
巫女は呟きながら
思考を始める
エルフの森、王子を殺害した時だ
狙っているにも関わらず 何故その腕輪、ドラウプニルを奪って行かなかった?
そもそもドラウプニルの存在が知られていなかった?
もしくは、戦姫やエルフの防衛を懸念したから?
いや、それは無いか
それならフォメット、、魔族の口から名称が出て来ない筈だ
それに安全圏で行くのなら別にラフィが森に戻ったあの日を狙わなくても良い
、、何故? なんでわざわざあの日なんだ?
亡き者にするのが目的だったとして、コレの存在も理解してる
「最初からバルに渡る様、計算されてたとしたら、、使いこなせない方が良いまであるな」
食べながら聞いていた周囲、全員が息を飲んだ
「そんな、流石にまさか、そこまでは、、」
青年は腕輪を見つめてから 続ける
「もし、仮にそうだとしたら次に浮かぶのって その情報をくれた」
「烏天狗」
「いや、いやいや、それはないじゃろ」
赤鬼が隣で食後の飲酒を始めている
「すみません、エルフやアルを助けた件もありますし本気で疑っている訳では無いのですが」
「イマイチ素性が見えねぇから分からなくも無い、こんだけ大事になって来てるのに対して手を引くのも急過ぎるしな」
少女?は勢い良く自分のグラスを空にするとカセンの手元へとソレを置き直す
「あ~色々あるんじゃよ、一度はオサキの件も頼んじまってるからのぉ 今回はどっちにも転べんのだと思う」
「だとしてもだ、もう少し疑われない立ち回りも出来るだろ~が ちっ、食えねえ連中だ」
・・・
「と、とりあえずどうしましょうか? 素材回収や奇襲に備えて等、人員が足りなければそっちに回りますし 巫女様の意見に従いますよ」
バルは周りを見回してから話を戻そうともう一つ芋を移す
「エルフ連中が留守番と考えて、、まぁお前は腕輪の方優先で良いだろう 使いこなせないままじゃ選択肢が増えね~し何より浮かばれないからな っつっても魔法学校ってのがどの程度なのか私も知らんから港で情報収集してから向かうんだな」
「確かにそうですね、無駄足にだけならない様にあっちで調べられそうな事はまとめて帰って来ますね」
「土産、期待しとく」
右手にグラス、左手に芋
わんぱくスタイルで吐き出される『土産』は違う方にしか聞こえなかった
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