327 買物
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「わぁ~すっご~い、お店がいっぱい! ほら! 見て見て~!」
「見てる、見てるからそんなにひっぱるなって 俺の指そろそろ変な方向行っちゃわない?大丈夫?」
三十路が慌てて体の向きを変える
「あ!あっちからも美味しそうな匂いがするのよ」
「あ~パン屋じゃね?確か来た事ある、前食った時は普通のやつ食べてみたけど美味かったよ」
「ねぇねぇジンー? 私も偶にはパンが食べたいわ?」
(何だこの可愛い生物は 本物のロリコンが見たら発狂するんじゃないのか?)
甘ったれた様に上目遣いで俺の手首を抱いているのは吸血鬼のお嬢様だ
きっとこの調子で将来は男を騙す側に回るのだろう
今、俺達は王都に来ている
買いたい物があるのは事実だが決してデートとかそういう事では無い
皆向かう所があるからって幼女のお守を任せられた訳だ
遊びなんかじゃない
なんならこのまま
火の国に向かう為だ
カセンの故郷、火の国へと行く道は基本的に三つある
まずはギルドからひたすら南へと向かい、険しい山を越える最短ルート
道なき道を進み、時にはゴブリンやら魔物と鉢合わせる事もあるんだとか
面子(めんつ)が面子なので問題無いのかと思いきや
「奴らの監視下にあった場合奇襲やら情報漏洩(じょうほうろうえい)が怖い、最悪のケースで橋なんか落とされてたら引き返す事にもなりかねんからな」
と巫女が却下した
次に二つ目は南西に向かってドワーフの住む炭鉱街から地下を通って向かうルート
何かあればドワーフ連中から援護が受けられる上に空からの偵察も無い、よって安心安全と言える為これはこれでありだったのだが
「開拓が進んでいて比較的使われているルートなので発掘時や発破(はっぱ)作業と被ったら面倒臭そうですね、強行突破は事故、或(ある)いは酸欠もあり得るので予約環境が知りたい所ですね」
「飯が不味い」
「あ~恐らくじゃが地下から火の国付近に出る所は湿地帯でのぉ、べちゃべちゃじゃった気がするんじゃが?」
と言う具合に正しい懸念材料が『一つ』だけ出たのでパスとなった
最後の三つ目
此処、王都から南に行くと、、旧王都がある
そう
以前ももに救われた、危ない目に合った所だ
その旧王都を先に抜けると天狗山
この山もデカイのだが王都からの道は比較的整備されているらしく、一番最初の案よりはマシなんだとか
登山を開始したら中腹までも行かないくらいで西へと下山、ぐるりと回る形となる
遠回りだが安全第一、尚且つ火の国の領土だ
「簡単にはあちらさんも入って来ないんじゃない?」
と烏天狗も言っていたのでこのルートに決まったという訳だ
(まぁ、肝心の隠密部隊は今回欠席なのだが)
、、と言うか
向かうのは俺を含めて五人だけなんだ
なんなら買物にすらバルとエルフ連中は来ていない(すんごく来たがってたのが一人いたけど)しアルも王都に置いて行く形となった
火の国班はこの幼女と赤鬼、それに巫女と従者が後で合流しての五人だ
パーティー的にはシフが居るだけマシってなもんだろう
まっ、説明ばかり長くなるのもなんだから編成理由は次回にするとして
「昼は馬車でおにぎり食ったばっかだろ~? ってか朝食似たの食わなかったっけ
「、、育ち盛りなのよ?」
「え、何その返し ん~じゃあ俺も買わなきゃいけない物が幾つかあるからそっち買ったらにするか」
「え~」
「え~って!? そんなに嫌なの?でも買物はするからな?」
「齧(かじ)りながら巡るのよ」
「あぁそういう事ね、でも後にしようぜ? みんなにも焼き立て買ってってやろうよ な? シエルもきっと喜ぶし」
「う~、まぁ~それなら~ しょうがないわね」
「うっし、じゃあちゃちゃっと買い行くか~」
「クックックッ、重たい物はわた、、我が持ってあげるのよ!」
メンバーが増えて来たのもあり
金物屋で大きめな中華鍋と特大サイズの寸胴を
服屋では以前同様に型紙(かたがみ)での依頼をし、生地や綿、それと自分の物では無い可愛らしいハンカチ
最後に
小さなエプロンを購入した
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