318 能力
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「え~、まずですね今回のお話はシエル様やお嬢様にも酷な所があり」
「そういうの良いからさっさと始めろボケ、当人のちんちくりんが寝ちまうだろが」
従者の言葉を遮(さえぎ)った少女?が隣のカウンターを指差す
先程まで赤鬼と酒を交わしていた幼女の電源は切れ掛けだ
今にも椅子からずり落ちそうになっている
「あ~あ~あ~、ロゼ! ラフィのとこ行って横になっておけって」
亭主が両脇を抱える
のだが
「う~嫌~、ここで シエルとお話聞くの~」
隣の服を掴む
「うぜぇ」
「珍しく駄々っ子だな~、ってカセン何飲ましたんだよ、顔赤いじゃん」
「お~? ロゼにゃジュースじゃよ? グラスの中匂い嗅いでみぃ」
「まさかの雰囲気酔いかよ! いや、熱?とか? 小っちゃい子ってなんかそういう時イヤイヤってなっちゃうんだっけ?」
「、、いや、問題ねぇ眠て~だけだろ はぁ」
巫女が胸、喉元、額と触診を行い溜息を吐き
「とりあえずあっち行くぞ」
一回り小さな手を掴むと座敷の方へと向かう
(なんだこの可愛い光景は)
と皆が思っただろう
だが勿論、一番クリティカルしたのは
「ふおおおおおおお!」
その両名が向かっている先の族長さんだ
横になりウトウトしていた筈なのだがおいでおいでと手招きする目はギンギンである
・・・
「さ、さて、お嬢様が寝ちゃったとしても自分が後程お話しますのでご安心を、、えー、今此処にいる面々なら問題は無いかと思うのですが一つだけ注意事項を」
「良いっつってんだろが!」
野次の様な声、それと同時に投げられた空き瓶を掴み
何事も無かったかの様に亭主の前辺りへ置き直してから従者は皆の見える位置まで移動する
「いえ、簡単な事ですから 他言無用 コレだけです」
周囲を鋭く見回す、、
のだが
「他言無用ってにゃんだっけ」
「他の人には言わない様に~って事だったかと思うのです、、あ、姉さんそれまだ食べてる途中」
「知らない あったから」
「ちょっとぉ! 私も食べて無いんだけど」
「、、あ~すまん、申し訳ないね、コイツ等は問題無いから ってか覚えもしないかもだし気にしないで続けて」
と答える天狗も酒を片手に気楽なものだ
「は、はは、え~こんな具合に難しいお話でもあるでしょうから まぁ分からない所は個々で聞いてもらえれば」
(シフ、絶対疲れるポジションお疲れ! しょうがないさ、猫だもの みつ〇)
従者の表情は至って普通
時折悲しそうな雰囲気もあったのだが、何より
本人達が腹を括(くく)ってしまっている訳で、、
「まずは『魔法』と言うモノについてお話しますね? この中ではシエル様、お嬢様、ラフィ、、とカセンさんは、魔法『使い』では無いんですがとりあえず魔力持ちなのでこの四名です」
「なんか仲間外れじゃのぉ」
「良いから余計な事言うなって ほいよ、おかわり」
場を読んでか、それとも天然かは分からないが新品を目の前に置き黙らすとする
「ふふ、ありがとうございます これはゼブラ神父様からの手紙で知った事なのですが、魔法と言うモノを生み出せる人、それと扱える人には幾つかの条件とリスクがあります」
扱う者
それは一見簡単な様であり、難しい、、
例えるのなら自転車に乗る様な
はたまた
移植された脳と繋がる様な
『把握』
能力自体の事であり、詠唱術であったり感情であったり
理解し、把握して初めて扱う事が出来る
当たり前の様にも聞こえたのだがこれには何人かの鋭い連中が一斉に同じ方を見た
ラフィの大剣
それと
バルの腕輪だ
元から、自らの中に同じ力があるなら勿論『ソレ』が要らない
だから魔法使いは容易く扱える訳で、、
次に
リスク
魔法を使う際に自分の身を削ると言う代償の事だ
言うなれば呪いの様なモノ
そんな事、、
シエルを見ている者なら分かる事
そう 思っていた
「どうせ何を言っても止(や)めないんでしょうから、止(と)めません けど、シエル様がこのまま治癒を続けたのなら」
「恐らく、、視力を失うでしょう」
知ったかぶった頭の中が
胸の奥が
ぶっ叩かれた様な気がした
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