295 溜息
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/25 8:30
「ふふ、大丈夫ですか? あ、良いですよ持ちますから」
置いて行かれた従者がナイフを片手に駆けて来た
「あ、あぁこれくらいは ハハハハ」
二日酔いの青年は荷物を抱え青い顔で愛想笑いを浮かべる
「そんな無理しなくても良いのに、なんなら馬車で寝てても全然良かったんですよ? シエル様も気にしないでしょうし」
「いやいや、巫女様が平気な顔してるのに俺だけそんなの駄目でしょう、戦闘になる訳じゃないし大丈夫ですよ って、あれ? あの人は 以前の?」
まだ鉱山街に入ってすぐの所、地上の光も届く程の距離だ
バルが目にしたのはひらけた通りにある鍛冶場の様な建物、そこから背の低い中年男が顔を出してこちらの様子を伺(うかが)っている
目を凝(こ)らし見ると以前もギルドで依頼を受けた際に案内を買って出て来た者だ
ドワーフの種族にしては体躯もそれ程良くないおかっぱ頭、名は ギン というらしい
今回も特別こちらから頼んだ訳でも無いのだが
「これはこれは! 助かりますよ~今回も以前と同じ額で良いって事ですよね?」
手を止めてから従者の近くへと足早に寄って来た
「どうもお久しぶりです、えっと申し訳無いのですが今回は別件でして、、」
・・・
説明はまだ半分程だったのだが
「へぇ、ルク王の使いで? ふ~ん」
ドワーフの表情が分かり易く変わった
「はい、ですのでお時間が許す限りで構いません ドワーフ王の元まで案内して頂ければと思うのですが」
「はぁ、なんだ人員の方じゃなかったのか、そっか、なんだ う~ん参ったな~ はぁ」
不機嫌そうにわざとらしく肩を落とし、溜息を溢す
それを華麗に見て見ぬフリ、と言うよりもこんな所で時間を浪費する意味も無いので
「これは失礼しました手隙ではありませんでしたか、お時間取らせてしまいました、他を当たりますのでお気遣い無く」
流石、丁寧にキッパリと断りを入れる
「、、あ、いや、あ~そうしたら 良いよ?ソレ置いといてくれれば後で伝えておくし後日手紙でも送ってあげるよ それなら構わないよね?だからs」
「いえ、我々も任務ですのでそういう訳にもいきませんから、すいませんが」
そろそろ正常の者なら理解出来ている筈なのだが、、
従者は被せる様に遮(さえぎ)ってから進むべき方向へと目を向けた
当たり前だがまず『ソレ』と指差された袋 置いておける筈も無い
中身は多額の財宝、少なからず王に渡るまでは放置どころか目を離す訳にもいかない代物だ
にも拘(かか)らず
「なんなら色付けるからさ~、働いてってくれないかな~」
懲りないものである
それを見ていた赤鬼が痺れを切らしたのか
「あ~ギンとか言ったか? もう良いじゃろ今度あっしが手伝いに来てやるから今回は退(の)いてくれ」
横から割って入る
、、それでも
「はぁ 頼むよ~討伐の方でも良いんだよ~どうにもならなくてさ~ はぁ」
その陰湿な溜息
そして自分の都合だけを押し付けるしつこさ
今回は善者の塊みたいなエルフがいないので正直どうでも良かったのだが
「 はぁ」
後ろから違う意味での溜息が聞こえた
従者と赤鬼も「ほらね?」とでも言いたげな顔で目線を合わせ、また違う意味の溜息を吐く
心配していたのはもちろんこのお方
「邪魔だ、消すぞ?」
銀髪少女?は前に出ると虫、、いや、生物では無いモノを見る様な目で冷たい感情を表す
「グダグダと鬱陶(うっとう)しい、なんなら死なない程度に刺してやろうか?ぉ? もしくは貸してやるからこの場で自害しろよ、ほら」
先程回収したばかりの短剣を投げ捨て、しっかりと切れ散らかす
(えー言い方!! 巫女様 嘘でしょ?)
(ヤの者じゃん シエル様本当に止めて)
(お~お~面倒にならなきゃ良いんじゃがのぉ)
(こういうのは18禁とかで済むんだろうか 流石にダメなら直しますです、はい(作者)
「早くしろって、本当に殺すぞコラ さっさと選べやキモ男が」
止まない暴言を吐かれ、縦横に激しく揺れるドワーフは既に涙目だ
だがまぁ
こういう輩は自業自得だししょうがないよね
と作者も思っちゃってるので歯止めはかかりません(メタ
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