165 子供

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/14 21:30


「、、、以上で報告を終了します、本当に、大変申し訳御座いません」


まだ染めて一週間も経たない金色の髪の毛で深々と頭を下げている


「、、つまり要約すると、異形が大量発生してそれをルイが退治していたら暴走、魔物化、それでエルフに殺害された、周囲が危険地域になったので撤退して来たと」

キドナは冷静に今聞いた話を羅列(られつ)する


「はい」


「首輪、外して無いのよね?」


「はい」


尋問、という訳では無い


確認だ


「変わった所は無かったのかしら?例えば、そうね、キーロ アナタが怪我をしただとか危ない目に合っていただとか」


「いえ、傍に居ましたし」


「、、そう、いえ確かに少し心配はしていたのよ? あの頼まれていた小鳥と鉢植えの世話、あったじゃない」


「ぇ あ、はい」

思ってもみなかった返答に少しだけ戸惑う


「可哀想に、部屋に入って確認した時にはもう、枯れ果てていたのよ」


!?


「でも、だとしたら一番に影響を受けるのはアナタの筈ではないのかしら、それも 出発前に、、体調は? ぱっと見顔色が悪いくらいでしかない様子だけれど念の為血液検査だけでもしましょうか」

半分は自問自答の様に呟きながら棚から注射器を取り出しながらキーロの腕を消毒する


「、、故障、でしょうか」

上手いものでチクリとしたのは一瞬だけでそれ程の苦痛感も無い


「それは無いわ、アレはそんな簡単に壊せる様な物では無いのだから  仮にそうだとしたらフェリスが巨大化しているはずでしょう?  それに」

(故意的に力を使ったという事になる、じゃないとキーロはもう枯れている筈、だとすると?  小鳥や花が憎かった?  あり得るのかしら、本人の希望で買い与えたと聞いたのだけれど)

喋りながら、思考しながらも手際良く二本目に取り掛かる


「ぁ、あのそれと 王子の名を叫ぶ声が聞こえました」


「、、それは、エルフ達からって事よね」


「えぇ、悲しみ、嘆く様な」


キドナは血液の採取を終えながら難しい顔をしている


「訳が分からないわ、なんでそうなるのかしらね」


「それにあの、こう言っちゃなんですが、、エルフ側からは王国を敵にしている様な温度が見られませんでした  何か食い違っている部分を感じます」



・・・・・・



「まぁ良いわ、キーロ  アナタは少しフェリスと休みなさい、何かあると嫌だからしばらくはフェリスのトレーニングも休ませましょう、王には明日私から報告を入れて来ます」


「、、申し訳、御座いません」


今一度深々と頭を下げてから部屋を出る青年を見届け、採取した血液を装置の様な物の上に置く


「念入りに検査して報告をくれるかしら、出来れば魔力での影響が出ていないかどうかもお願い、えぇ  えぇ、そうね  それと明日の朝までで良いのでルイの、あの子が以前暴走してしまった時のデータをもう一度よこしてくれるかしら、勿論画像と共に     それと、レイにも連絡を取っておいてもらえるかしら」


誰かがそこにいる訳では無いのだがひとしきり話し終えると溜息を吐き

別の棚からワインとグラスを手に取る



トクトクトクトク



じっとその液体を見つめるのだが、ソムリエの様に色を眺めている訳では無い


「意外、、ね   ごめんなさい」


もう一度だけ溜息を吐き、ゆっくりと噛み締める様に


ゆっくりと


その喉に流し込む















「そうですか、はい 分かりました明日朝一でそちらへ向かう様に調整しましょう」



「、、と言う状態ですが」


「彼女は変わっている所がありますけど賢いですから、あまり作って行かない方が良いでしょうね」


「王は、恐らくそれも一興と取ると思われますが」


「構いませんよ、それよりも今は東の亡霊共を、、、いえ、失礼、まずは目の前の事に集中しましょうか、報告をお願いします」



「標的、王子の死亡は確認済み、実験体は変異、魔物化したがエルフに居抜かれ死亡  の様に思ったのですが見届けられずに終わっています、あの場には居れませんでしたから、、沈静した場からも姿形無く、消滅したかの様な状態です    それと、帰還中に青年らと遭遇した為威嚇射撃後に撤退、追って来なかったので逃げ切れた形です」


「そうですか、ご苦労様です  まぁ仕方ないでしょう想定内ですよ」



王の目からの情報でその辺りは把握済み



こちら側も代償はあれどアレを失ったエルフを警戒する事はもう無い



さて











破滅を始めましょうか















四章  完

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