138 曖昧

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/13 20:00


「お~そんな顔であっしを見られてものぉ」

赤鬼は目を丸くするエルフの目線を受けるが隣の大男に指で誘導する


「あ、あぁそうだな しかし、、何かの間違いでは無いのか? どう思うもーぅむ」

「ぅむ~んそうだね、仮にもその周辺の情報は幾一拾っているし ねぇ?」

隣のバルが遮りながらも言葉を合わせると笑顔で色の白い頬を親指と人差し指で摘まむ


「くわぁ、かみみも 仮にも長なのだぞ? う、う˝ん 私はラフィ・スヴァルト、エルフの森の長をやっている! あの辺一帯は国みたいなものだ、ジィ様達は外の世界を嫌ってはいるが馬鹿では無い、何かされた所でそんな簡単に喧嘩なんぞ買わんだろう」

摘まむ手を拭い堂々と腰に手を当てた後に大きな声で名乗り、胸の前で腕組をする


・・・


「なんでふふん!ってした後にもっかいポーズ変えたの?」

少し場が止まった所だが良いタイミングでツインテールがエルフの前を通る

「ラフィあんたね~美人なのは認めるけどさ、な~んか姫っぽくないんだよね~」

周りの猫忍達に亭主自慢のチーズおかか握りを配布しながらも目を細めツッコミを入れてくれる


「むぅ?だから私は長と言っているだむぅ」

「はいはい、オサオサ」

ラフィの口の中に最後の一個を押し込みトレイを軽く叩き脇に抱えるとツインテールはマスターの元へ向かう


「まぁr=u、ぉ。mぃz」


(えー)

呆れを通り越しバルは若干引いている、、様に見えるが目線は注意深くライアや猫忍達を見ている





当然だ





ここにいるのは天狗山の凄腕隠密部隊である


隠密行動の中で一番の武器は情報


エルフの長と言えば『戦姫』


ソレが今此処にいる、いわばエルフ達は代表が不在状態な訳だ


もし本当にディーン王国が何かを仕掛けたいのならば、、こんなに美味しい情報は無いであろう





「あず!なんで一個多いんですか 半分下さい半分こです」


「やだ~食べちゃうも~ん」


餅肌が一番小さいのを追っかけ


「食べた食べた、あ~もう眠いから宿舎行くね」


勝手に寝床へ向かうぶち柄


「あたし、、食べてない  ねぇ、あたし食べれてない」


茶トラがジンの背中から高い声で訴えかけている所に


「ちょっと~お風呂冷たいんですけど~、早急に温めてもらえません?」





・・・・・・





ここにいるのは天狗山の凄腕隠密部隊である






「嘘、マジ? わっかいのに長なの? こんな可愛い村長とかあんの!」

直ぐ近くで聞いていた隊長だけが一応は反応を示す


「かわ!そ、そそそ、わ私は可愛いか?  あ、うう˝ん 村長では無い! 長、、ん? 間違って~はいないのか?」


変わらず抜けた返答をしているエルフに溜息を吐く

そんなバルを察し赤鬼が声を上げる


「あ~まぁ、こやつらは少なくとも悪い事はせんから安心して良いと思うぞ?」


「う~ん、しかし~」


「どうせ明日にでも確認しに向かうんじゃろ?  アルーおかわり頼む~」

ジョッキを傾けニコニコとする飲兵衛


相変わらずの鋭さに一瞬、言葉を飲み込んだ


「、、そうですね  ラフィ!王国であった事は里のみんなには共有してあるけど半年外界を見たんだし整理するのにも頃合いでしょ、一度帰ろう」


「な!?まだ半年など経過していないぞ?」


「はいはい、約ね約 良いから明日戻るから準備しておくんだよ」


「むむぅ~  う?」

明らかに駄々をこねたい顔をしてからふとカウンター横の席で筆を走らせる人物を見つけ、閃いた顔をする





「なら! 巫女殿も一緒に来ないか?」

エルフは見事なまでに眩しい微笑みで手を差し出す


呼ばれた事に気付きシエルはピタリと筆を止めるが


「あ?なんでそうなんだよ」

煙たそうに顔を歪める


まぁ全て端折って言われればそれはそうだ


「ん? あぁ、会いたがっている人がいるのでな」








こうして翌日、ラフィとバルは『二人』森へと向かった

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