135 大輪
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
12/8 19:30
「アナタのおかげで中々面白い会だったわ」
「本当に、、すいません」
対談会を終えキドナとキーロはエレベーターに乗り込む所である
「まさか若い新人さんに断られるとは思ってもいなかったでしょうし、ふふふ、いい気味だわ」
「いえ! 断ってはいません、二人に聞いてみてからにしたかったんで」
キーロは慌てながら手を振る
(それと、、もっと良い方法が浮かびそうな気がする)
つい先程の事だ
エルフ達に攫(さら)われたバル王子の救出の為にフェリス、ルイを貸し出して欲しいと提案された
それに伴いキーロの同行は不可欠であるとキドナからの助言もあった
なのでキーロ本人に今一度、大王ディーン自ら頭を下げた
こんな状況で即答しない者はいないだろう、だがキーロから出た言葉は
「保留にさせてもらっても構いませんか?」であった
この返答にはその場にいた全員が呆気に取られた様な顔をした
一国の王を待たせる訳なのだから当たり前だ
続けてキーロは口を開いた
「申し訳御座いません 自分が一緒に向かう分には構わないんです、えっと この会が終わったらあの子達と出かける用事がありまして」
挙句、この台詞だ
空気の読めない科学者の一人と思われても仕方が無い事だろう
「キーロ 君?」
流石に軍師が小首を傾げた
「あ、あの!その時二人に聞こうと思って、少しで良いんです少しだけ時間もらえませんか? あ!もし宜しかったら皆さんも」
・・・・・・
「変わった子、、でしたね」
「ふふ、あはははは 実に 実に面白い ふふふ、王 如何しますか?」
「あぁ、彼の言う通り遠目から眺めてみるとしようじゃないか」
従者と軍師の問いかけに大王も立ち上がる
「あの子に会うのはその後でも構わないだろう」
チーン
「あっちのブースに呼んでありますの、、で?」
エレベーターの扉が開き、少し前に見える休憩ブースを指差すのだが
情景に目を疑った
施設の入口は封鎖され、キャーキャーと声が上がる
バタバタと次々に現場付近から人が離れて行く為すぐ目に付いた
そこには二人の男が倒れており
所々に血痕が飛び散っている
中心には大きな尻尾を持つ子供がもう一人を引き摺る様に髪を掴み
最後の一人は情けない声を上げながら酷い顔で
地に頭を擦り付けている
「フェ リ」
呼び終えるより先に
「キーロ!」
眼鏡の青年を見つけ一瞬だけ嬉しそうな顔をする、、が
「ァ ア キーロ、オレー キーロォ」
次に名を呼ぶ声は別人の様に震え、顔はくしゃくしゃになっていく
「違う! フェリスは悪くない、違うの!!」
珍しくその後ろのオッドアイが声を張る
「これは中々、困ったわね」
一言だけ呟くキドナは怪我人に近づき手首、首元に触れる
・・・
「二人共にまだ息はあるわね、、フェリス? その手に持ってる人も放して頂戴」
「アァ ゥ ウン」
手を放すと掴んでいたソレは勢いよくその場を離れる
「うわああああ、こ、殺されるかと思った 代表やっぱりこいつ等やべえっすよ!」
どう振り回されたのか
服が捻じれて本来あるべき姿をしておらず今にも千切れてしまいそうな程に損傷している
「え~と、キーロはこの子を連れて一度部屋に戻って ルイは残りなさい少しお話しましょう それと~そうね、アナタとアナタ第7会議室に丁度騎士のお偉い方がいるから呼んで来てくれるかしら? 入口を閉鎖したのは誰?良い判断ね アナタからも話を聞きたいのだけれど」
坦々と、的確に指示を飛ばすキドナ
少ししてから上がって来た王達
こうして
大きな花を共に見る事は叶わずに終わった
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