134 血種

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



【魔法を使える者については分かったかしら?】


キドナの言葉はずっと頭の片隅に張り付いている


自分にその力がある訳でも無く、実際に受けた事も無いので最初は訳が分からなかった

いや、今も理論上だけなので分かってはいないのかもしれない

考えれば考えるだけあれやこれや、もしかして、、こうだったら、こういう事も出来るのでは

などと良くない事も含めて想像してしまう


ジンさんや巫女様と話して他の意見も聞いてみたいものだ



まとめると


ルイの能力

それは他の生物から栄養 すなわち体力、命を奪い自分のモノにするもの

暴発時には部屋中がジャングルの様に草木にまみれ、そこにいた者達はミイラの様な姿で発見された


フェリスの能力

それは咆哮での洗脳、まだ未熟ではあるが魔物や動物といった知性の薄い者相手には成功しているらしい

暴発時には研究員を何人も狂わせたとかなんとか



言うなれば『寄生』と『支配』



だがコレらも、代表が言うには全て魔法らしい


生きる為に呼び起こした樹の魔法

鳴く事による音の魔法


感覚で使っているから事故が起こるのだとか

なのでソレを使いこなせる様にならなくてはいけない、そこで必要な物が


『感情』


そしてその肝心の魔法が使える者は基本


『混血種』


とくにかけ離れた種別な程強力な魔力を持つ傾向にあるらしい






そこで、魔力の高いディーン王の細胞を媒体にテストが始まったそうだ




15年前に




その時生まれた『合成獣(キメラ)』があの子達だ










12/8 18:20


「ここ最近の様子を見てもキーロの目聡(めざと)さには目を見張るものがあると思うわ」


「いえ、僕は特に何も」


「駄目なのよ、あの子達感性は良いから  実験体として見られている事はもちろんなのだけど、怖がられたりしているだけでも、、前任の口先だけの男なんてもっての外だったわ」


「ふむ、なるほど では私が嫌われている理由はその辺でしょうかね?」


「いえ、アナタの場合は逆よ あの子達が怖がっているの」

軍師の言葉にキドナは表情を崩さず普通に返答を返す


「恐怖、、う~ん、あまりそういう目で見られる事は無いのですがね~」



それから20分程キドナが手を付けているその他の研究経過や報告が続く

到底理解出来ない話ではあったが東にある『死の国』がそろそろ限界なのでは?と言う事も言っていた

確かに、ここ最近騎士団の方々は東側から溢れ出て来る死者達に手を焼いているらしいが



「こちらからは以上よ? そちら側からの重要な要件と言うのは何だったのかしら?」


それからは軍師が話し始める


「えぇ、死の国に関してもキドナ殿にはお力を借りたいと思っています、現状まずは王都に応援を呼び掛けている所ではあります」


何枚かの資料を従者のニールがキドナへ持って来る


「、、なるほど、困ったものね」


「えぇ、本当に やれやれとしか言いようが無いですよ」


「いいわ、私あの男は苦手だから」

「いえ!その前に早急に動かなくては行けない事が起きまして」


キドナの言葉を遮るとレイはゆっくりと、許可を貰うかの様にキーロの顔を見る


「その為にあの子達の力を使いたいと思っています」


「!?」


「それに伴い、キーロ君にも向かってもらった方が良いのかどうかもお聞きしたい所ではありますが」



話が読めていないのは自分だけなのだろうか?

力を使う?

あの子達、、の?

何に? 誰に?



続けて大王ディーンが一息ついてから口を開く


「いきなりで色々とすまないな」

キドナとキーロの目を順に、しっかりと見つめる

「少し前の事なのだが、この国は エルフ達の襲撃を受けたのだ」


「だからあの時言ったじゃない、それは戦姫を軟禁したからではないの?」

キドナが少し眉を細める


「軟禁なんてとんでも!」


従者のニールが声をあげるが軍師ルイが軽く手を上げる


「いえ、エルフと言う種族は自由な民ですから、、もしかしたらそう捉えられてしまったかもしれませんね」


「、、まぁ良いわ それで?」



何秒かの間を空けて大王が再び口を開く



「単刀直入に言おう、、国の王子」








「我が子、バルが捕らわれてしまったのだ」




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