131 戸惑

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/8 10:10


「出来た! ちゃんと綺麗に出来てれば良いけど」

青年は眼鏡を外し、目頭を軽く押してから首を回し、伸びを始める


「へぇ? コレが? 想像もつかないな」


「君も良くやるね~折角のお給金をアレらの為に、こんな物の為にね~」


ここは研究施設の中の一室、彼の作ったソレを他の研究員達が眺め首を傾げている


「スカウトされて来ただけあってキミ、やっぱり変わってるよね」


「どうでも良いんだけどさ、代表が良いって言うから原価で使わせてるけど次はもう勘弁してくれよ? 仕事の為の材料なんだから」

と言われた材料は施設内で大量生産しているハズなのだが



「あ、すいませんです 後で補充用に調整もしておきますので」

嫌味とは分かってはいる


だが、こんな事でバタバタ言い合いなどする気にもならない


「まぁまぁ、気持ちは分かるよ~」

施設内に似合わない少しチャラチャラとした風貌の男がキーロの肩を抱く

「でもキーロー俺もさ~肩入れし過ぎるのはどうかと思うよ~?  疲れちゃわないか? 大丈夫か~?」


「え、あ、はぁ」


多分


ジンさんも同じような言葉をくれるんだろうな



ここまでは



「やり過ぎるとちょっとしたきっかけで食われちまうかもしれね~ぞ?」


「お前!後釜になった彼に言う台詞か?」


「毎日ビクビクしてたよな、、代わってもらえたからってひっで~な~」


「う、うるせぇよ! お前らにはこの気持ち分かんね~よ   なぁ?キーロ  マジでアイツラ超怖いんだって」



ハハハハハハ


ハハハハハハ



キーロは作り笑いを上手く作る事が出来なかった


もちろん、やり過ごした方が良い事は分かっていたのだが



「、、では失礼しました」


精一杯口角を上げた


苦笑いを浮かべて 片付けを済ませ 軽く会釈をした


多分、下唇を噛んで、、早々に部屋を出た




「真面目ちゃんと言うか、、ね~」


「若さだよ若さ!」


「でも俺は無理だわ~」


「嫉妬? 代表に気に入られてるから?」


「あ~あ~あ~、そうだようるせぇな~ お前らもそう思ってんだろ?」


「違いない!」



ハハハハハハ


ハハハハハハ


ハハハハ ハハハハハハ


ハハハハハハハハ







(ふぅ、やっぱりココの人達は 難しいなぁ ジンさんみたいにもっと話が上手く出来れば良いんだけど、、あ、この後  どうなってるんだっけ)


手に持つソレを大事に抱えながら廊下の端で手帳をなぞる


(今日の夜 天気はどうなんだろう、夜中少しなら大丈夫かな?大丈夫そうなら外出許可をもらっておかないと、、って、あぁ、、今日は王様と対談会だったか)





(やっぱり、フェリスの事 なのだろうか?)


キーロは一度大きく溜息を吐き、チラチラと近くに誰も居ない事を確認する



そして



「あ~も~」


露骨に頭を抱えてから、天を仰ぐ


(知らなきゃ良かったな~)


(ってかもっと秘密にしておいてよ~、そんな簡単に重要書類置いておかないでよ~)




はぁ~・・・・・・




もう一度深いため息を吐くと目を閉じ、思考に入る




いや、代表の事だ わざとなのかもしれない

含めてどう感じ、どう動くのか、とか?

きっと魔法について説明された事も、あの子達の事も


だけど、だとしたら


意図が見えない


入って一年も経たない者相手だ、誠実さとかそういうモノでは無いと思う



(困ったな)





(あれもこれも、、分からないや   本当に)





(本当に、正しさってなんなんだろう)




折角作ったモノをボヤっと眺めながらそんな事を考えていた



そしてこの日を境に



キーロの運命が大きく変わる事件が起こる

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