115 標的
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/29 15:40
「なので、すまないがカセン殿」
「お~?なるほどのぉ帯剣していたので何事かと思ったぞ」
赤鬼がエルフと合流し、経緯を聞き取っている
「しかしのぉ、ソレだけだと今回の件と関係あるとは思えんくないか?」
「いや、、私が急に大きい声を出したのがいけないのだ、ジィ様はあの時『誘拐犯』と言う言葉に反応していた」
流石と言うべきか
はたまた一族のリーダーである長としては当然なのか
このエルフ
思った通りにすぐ行動する猪突猛進タイプであり、少し惚けた所が目立つ為勘違いされやすいのだが
一人一人の表情を良く見ている
そしていつも、しっかりと、しつこい程に
『口に出して聞いている』
【その、、ゆっくりで良いので教えてもらえないだろうか】
この一言は父親の件を聞いた訳では無い
20分程の時間は無言では無い
守りたい、救いたい
そういった善の言葉を延々と滾々(こんこん)と吐き出した
物乞いの最後の言葉をラフィはソレに対しての答えだと解釈したのだ
「む~、しゃ~ないのぉ ならラフィはそっちに向かうと良い、あっしはジンを追って巫女と合流しよう」
「あぁ、私も早急にそちらへ向かえる様勤しむぞ」
そう言いながらエルフは不思議な動きで柔軟を始める
「あ~、一応なんじゃが」
「む?」
「巫女とも話したんじゃがのぉ、魔族が潜んどる可能性があるかもしれん 覚えておいてくれ」
「うむ、忠告痛み入る だが私も巫女殿からアルの話を聞いたのでな、そう覚悟して来ている 大丈夫、大丈夫だぞ」
少し感覚が違うラフィからはカセンが不安気にでも見えたのか
赤鬼の右手を両手で包むと顔を見てにっこりと微笑む
「ふ、あっはっは、そうか ならば安心じゃの」
少し照れながら口角を上げ、余った左手でエルフの頭を撫でる
「反則的に可愛いのでもうちょいイチャイチャしてたいんじゃが、、行こうかの」
「うむ、カセン殿も頼んだぞ」
二人は逆方向へと走り出す
が
「カセン殿~~~~」
すぐに後ろから声がする
「お~? おぉ?」
「北街区に行くにはどうしたら良い~」
(あの娘は、、本当に何と言うか 裏切らんのぉ)
赤鬼は眉を下げ
困り顔で溜息を吐く
「はぁ、はぁ、だから やべ~んだって」
「あぁ?もうブッチャーには売り払ったんだ、知らね~よ!」
ジンを相手にし、知らせに向かった小柄な男
それともう一人の男が言い争いをしている
「でもよぉアイツが足止めしてくれてるし」
「俺はもう関係ねぇ、分け前だって例の所に置いてある」
「あの娘だって相当だったじゃね~か、絶対やられてるって」
「はっ!むしろ他の連中みたいに骨折じゃなく殺されてれば一人分浮くじゃね~か」
「そんなの、殺しは、、騎士団が動いちまうだろう」
「どうだか? さっきの娘だってそうだがこの前のだってそこそこ良い所の出だろう?」
男は煙草に火をつけ、ゆっくりと煙を吐き出す
「そんなのがもう一週間以上出て来ないんだ、誘拐騒ぎとは言われてても世間様は今それどころじゃね~んだよ、たかがゴロツキ一匹死のうが足が付くとは思えね~な」
「た、助けに来たヤツが調べ出したらどうすんだよ」
「馬鹿か?知らぬ存ぜぬで通せよ、ずらかる、、、あぁ? なんだありゃ」
男達は何やら叫ぶ声を耳にし、少し高い建物を見上げる
「あいつだ! 助けに来たヤツあいつだよ」
「あの娘の親かなんかだとしたら 金、持ってそうだな」
「きっともうやられちまったんだ、俺達を探して、、うっ! ぐえ!」
片手で胸倉を捕まれ小柄な男が壁に叩きつけられる
「いちいちいちいちうるせぇよ! ったく小物が、、なぁに、相手がアレなら怖くね~よ アレは」
「素人だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます