113 詮術
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/29 16:00
「て、てめぇも結構 アレか? 色々 武術とかやってんのか! あ?」
刃物を片手に啖呵を切る
「あ、ああああ いやいや!いあいあいあ そんな心得とか無い ですよ!マジ 無理無理無理無理」
ジンは尻餅を突き勢い良く手を振る
・・・
「え? あ、あぁ、、なんだよ!こっちは素人かよ」
「ナイフとか勘弁して下さいよ~」
地に尻を着けたまま情けない格好で一、二と後退る
「ハハ! こりゃ良い、おう兄ちゃん大丈夫だ! ちょっと大人しくしてくれればちゃんと帰してやるからよ」
腰元のロープに目をやる
瞬間
「ううう うあらああ!」
右手いっぱいに掴んだ砂!
次に左手で掴んだ小石と砂利をすぐさま右手に持ち替え、振りかぶり
顔面目掛け投げつける
「うお~来んなよ?バーカ!」
その隙に足を引き立ち上がると
全速力で来た道を走る
「ああああ、なんっ! いっ!くっそ おま」
男は頭部に細かく当たる小石を払い、左手で目を擦りながら前に出る
ジンは
全速力で来た道を走る
フリをした
「らああああ!」
辺りに飲み散らかされた中から拾った空き瓶、酒瓶 だろうか
力一杯に男の右手を殴りつける
ゴキャジャァン!
「いっぐあ あああああああ」
男は威嚇され刃物を強く握っていた為余計にクリティカルヒットした
指の第一関節と第二関節の間に当たり指が何本かイったんじゃないかと思った
割れた欠片は所々に突き刺さり、刃物は地に落ちた
「いっいてええええ」
はぁ、はぁ
(刃物まで出しやがって 誘拐犯だ、、悪い事 してんだろ!?)
一瞬だけジンの動きが止まるが
すぐにシエルの顔が浮かぶ
・・・
「死ななきゃ!良いだろがぁ!?」
思い切りに左足で破片まみれの右手を踏みつけ
右足で顔面を力一杯二度三度と蹴り飛ばす
はぁ、はぁ
はぁ、はぁ
(早く、、追わね~と)
加減など出来なかったので鼻や歯は折れているかもしれない
だが意識を失っているくらいで命に別状は無いだろう
ジンは念の為ナイフを拾いもう一人の後を追う
汚い形だが
主役の初勝利である
はぁ、はぁ
(知らせるって言ってたな、、って事は何人かいる、組織的なもんか)
(なんだっけ?えっと、バル先生の 裏技を使っても絶対に戦っちゃいけないのは)
【多人数、、素人が相手に出来る訳がありません 逃げに転じて下さい】
【一人相手でも一撃で仕留められない場合、、拳で殴るとか絶対ダメです、急所を的確に突けるとかカセンさんみたいなのは別ですが普通ならたかが知れてますから 必ず何かしらの武器を使う事】
【殺す気で来ているモノ、、魔物や殺気立ってる者には単純に効き目が無いので】
(あと何個かあったけど、普通に考えたらそうだわな 対面してみて分かった、下手しなくても殺し合いだ、、マジでこええ っっと この辺か?)
ジンは思い浮かべながら何を思ったのか路地の建物をよじ登って行く
(くっそ、なんで梯子とかあったりしね~んだよ いや、まぁそりゃ防犯上普通、無いか)
はぁ、はぁ
(なんか ロープ投げてぐるぐるっと出来たりしたらカッコ良いんだろうけどな~)
それこそ 仲間を助けるのに
未経験者が剣を振り回したり
チート能力があったり
人間を相手に戦うとか
情報で無双するとか
実は握力が70、80あるとか
反吐が出る
(都合良過ぎるんだよ!)
「よっこいしょお!」
やっとの思いで小さな建物の上に登り
すぐ隣の建物へ
(くっそ~、こええな~)
足が架かりそうな箇所、掴めそうな所を選び慎重に移動する
はぁ、はぁ
(この辺で、良いだろ ギリギリ見える)
「よっし!」
ジンは大きく息を吸い込む
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