103 人選
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/27 18:00
「ではよろしくお願いしますね」
リッツは軽くお辞儀をすると店を出る
「はいよ~、普通の依頼も待ってるから~」
亭主が店外へと見送り、外にいた本物の子猫ルトを抱き抱える
「お~よしよし、今日は遅かったんだな~ ってお前ら、、まだやってんのかよ」
店内に入ってすぐ右にある座敷を見て亭主は呆れた表情を浮かべる
「ねぇ~え~」
「ダメだ」
「な~ん~で~、シエルと一緒なら誤解なんかとけるじゃんか~」
「しつこい」
「服買ったじゃん! 変装とかするから~」
「うるせぇ」
「あっちでもお菓子買ってあげるから~」
「 駄賃で買える」
「くふふふ、ロリ巫女よ少しだけ間があったぞ?」
「私もアルと行きたいが、そんな理由があるのなら無理は良くないと思うぞ? で、、私は付いて行っても良いんだよな? な?」
エルフは人選選びに参加させてもらえておらず、巫女と赤鬼の顔を覗く
「不安だな~、、あ、とりあえず少しだけでも特訓します?」
離れで見ているバルが亭主に声をかける
「お!ありがたい けどちょっとルトにご飯だけやっちゃうね~」
そう言うとキッチンへ入り、カウンターの上に子猫を置く
商人の粋な経費と言う名の駄賃に釣られ例のおとり作戦が採用された為、ギルド一行は明後日29日にディーン国へと向かう事に決定した
ふと亭主が
「どうせディーン王国まで足伸ばすんならキーロに会っとこ~」
とパンフレットを引き出しから取り出し
ギョッとした
『キドナ総合ラボ』
バルとラフィが帰って来るのを待ってから皆で一度情報の共有をした
バルが珍しく
「即討伐しましょう」
やら物騒な事を言っていたが
「まずは情報収集だろう」
と巫女に窘(たしな)められていた
キドナと言う人物の情報を少しでも吸える様にキーロと自然に会って来る役目をジン
誘拐事件に取り掛かるのはシエル、カセン、ラフィの三人
そして
ディーン王国からお尋ね者のアルは「留守番」と言われ愚図(ぐず)っているのだ
思えばキーロに会う時の為に金銭を貯め、愛らしい服を購入したのだと思うと駄々をこねるのも分からなくは無い
トドメにしれっと付いて来ない様に、それとギルドの店自体にも何か動きがあるやもとバルがお守として残された
「ほ~れほれ、鶏胸さんだぞ~」
黒猫の好物を皿へと盛る
「アルのお守役だけで店は閉めといても良いからね?」
(どうせ客なんか来ないかもだしな)
「あ、えぇジンさんこそ凄いメンバーなので大変でしょうが、頑張って下さいね」
「ソレナ!正直バルもいないシフもいないってもうなんかカオスでしかない気がするわ」
最近ではストッパー役のアルもいない訳で、強烈なのは確実だろう
「ねぇ~ってば~お~ね~がい~」
「あ~うるせ~うるせ~、そんなに好きなら手紙でも書いてそこの亭主にでも渡せば良いだろうが」
「え、あ す! すす、好きとかそういうんじゃ」
「大体な~、ひと月も経ってねぇんだぞ? それでなくても普通の企業って訳でも無い、余裕なんかあるわけねぇだろ 機械小僧からしたら迷惑になるぞ」
少し赤面しモジモジと始める所に容赦無く畳み掛ける
「う~」
「あ~まぁ確かにそうかもじゃのぉ?アル、今回は我慢しとくんじゃな」
「カセンまで~」
「アル!なんなら私が持って行っても良いんだぞ? で、、私は付いて行っても良いんだよな? な?」
「ラフィはキーロ知らないじゃん」
「お~キーロって名前なんぞ誰も出してないがの?」
「ま˝っ! ちがっ」
(何あの中学生みたいなノリ)
「よっし、じゃあバル行こうか」
壁に立て掛けてある木剣を手に取り男性陣は表へと向かう
「あ、あのね? キーロの件は ま、まぁ~置いといて、、お願い と言うか確認して欲しい事があるんだけど」
ツインテールが急に真面目な顔、、いや、不安そうに
眉を下げる
(ずっと気になっていた)
「、、あぁ、心配するな そっちの件も調べに行くつもりだ」
(今更、何かが出来る訳でも無いけど)
「、、、ごめんね ありがと お願い、ね」
(知らないといけない、知らないで生きては、、いけない)
「アルは良い子じゃの~ いいこいいこ」
俯(うつむ)くツインテールの頭を赤鬼が撫でる
「む!? なんだ? 私にも教えて欲しいのだが!?」
どさくさに紛れてエルフもアルの頭を撫でる
「で、、私は付いて行っても良いんだよな? な?」
台無しである
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