101 商売
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/27 8:30
「人攫(ひとさら)い、ねぇ」
亭主が山盛りのご飯を商人の前に置く
「お、おぉぅ、、い、いただきます」
次々に置かれていくおかず達に商人は覚悟を決める
「で! ですね 解決出来た暁には、私から報酬を用意しますので」
「お~それだと利益が出ないんじゃないのかの? 神父を見て慈善事業にでも目覚めたんか~」
赤鬼はにひひとした顔で土産の酒に手を付ける
「いやぁ、それだったら立派なんでしょうけどね~ 私の場合は少し邪(よこしま)でして」
「大方、港での事に味を占めたってとこだろう」
巫女が食後のコーヒーを傾けながら話を折る
「、、えぇ、そうです、その通りです 今回の誘拐事件も解決したのは港町を救った例の英雄達、誰が頼んだ訳でも無いのに動いてくれた! あの集団はなんなんだ!! と言うシナリオな訳です 巫女様の名前はもちろん出しませんしどっちかと言うと巫女様の狙いである『ギルドの宣伝』にもなりますよ?」
流石商人と言うべきか
巫女の本当の狙いとは別である
だが、以前巫女が口にした意味、意図をしっかり汲み取っている
尚且つ、自分が利を得る為の算段、種蒔は見事とも取れる
「投資、、って事か? すげぇなリッツも、んで? 店からどんくらい持ってこうとしてんの?」
ジンもだてに社会人、そして経営者では無い
「話が早くて助かります! え~では、今回の報酬は100 今後私が持って来た依頼に関しては10パーセントでどうでしょうか? もちろん値段の設定、受注もジンさんに任せます 受けても良いですし断って頂いても構いません」
これも流石と言うべきだろう
リッツは事前に作った簡易的な契約書をジンの前に出す
「でもそれってジンの方が絶対良くない?」
アルが亭主の後ろから顔を出す
「だぁもう、金の話なんか子供は聞かなくても良いんだよ」
「え~だって、良い話にしか思えなくない? 100って100万円でしょ!? リッツそんな持ってんの?」
問答無用とばかりに自由ではあるが
その通りである
仮に契約したとしても最悪ジンが今後の依頼を受けなければ良いだけだ
自分で営業、受注しているだけでも実際には十分になりつつある
だがリッツは確信していた
(この亭主はそんな事をしない、むしろ優先すらするだろう)と
ここ数日だけでもジンの人の良さを見たからだ
自然と見送りをし出向かえる仕草、飲酒時の気遣い 決め手は 他のメンバーからの態度
商売柄リッツもまた洞察眼が優れていると言えるだろう
「しっかしな~、そんな簡単に解決なんて出来るかな?いやもちろん被害にあってる子もいるんだし解決してあげたいよ アジトとかがあるんならカセン投入で良いんだろうけどさ」
ジンは想像しながら状況を整理する
「ん~地道にパトロールとかか?、、無駄足多そうじゃない?」
「ねぇねぇ、犯人になったつもりで考えてみるとかが良いんじゃないかな」
アルはどこか楽しそうだ
「犯人ね~?子供を、さらう 抵抗出来ないからとか足が遅いからか? 身代金 とかだと足がつくか?」
「あ~ジンと同じくロリコンって説もあるんじゃないのかの?」
赤鬼の表情はいたって真面目だが
「ロリコンじゃねえってば ってか言っとくけどカセンのがロリコン説あるからな」
・・・
「あれ? そういえばさ」
このまま名前を出すと当人には失礼ではあるが
「シフって今日どうしたの?」
(我等がロリコンみたいになっちゃったけど)
・・・
「カカカカ、そういえばそうじゃの あっはっは 本物のロリコンがおったか」
(待って、流石に可哀そう)
だけど
一斉に巫女への視線が集まる
「あ?」
巫女は目を細め、再びコーヒーを傾ける
「解雇した」
・・・・・・
「はぁ!?」
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