64 痕跡
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/20 15:10
「お~、これはだいぶ深そうじゃの」
赤鬼が穴を覗き込む
「この穴付近から魔力の痕跡がある、、あとは 下だな」
巫女は感知魔法を詠唱し終えるとカセンの隣に並び底が見えない足元を見る
「あ!ロープなら持って来てるけど、どうする?」
三十路がリュックを下ろしゴソゴソと中身を取り出す
「、、30mくらいか?」
巫女がチラッと見ただけで的確に当てて来る
「え、あぁ確かそうだったかな」
「全然足りないと思うが?」
「俺でもそれくらいは分かるよ、だからどうする?って聞いたじゃんか」
「もう一つ無いのか?」
「ロープはこれくらいだな~」
「ちっ」
「舌打ち! せっかくのアイテムに舌打ち!?」
「深さは分からないですが様子見に自分が下りてみましょうか?」
従者がロープを受け取り自分の腰元に結ぶ
「何処かに結ぶのも何なんでカセンさんそっち側持ってて貰えます? 聴こえない場合は3回強く引いたら引き上げて下さい」
「お~了解じゃ」
「あ! ランタンあるよ カセンも軍手、、いる?」
気の利く道具持ちみたいになってはいるが実際にこういったアイテムを持って来ている者がいないので意外に役立っている気がする
「あ~! いくつかの部屋を貫通しているみたいです~!」
反響しながら声が聞こえる
「何処か下りられそうな所はありそうかの~!?」
それに大きめの声で返す
「円に沿って移動してもらえますか~!」
「お~分かった~」
カセンは手綱を握りしめながらゆっくりと大穴を回る
三十路は二人のやり取りを見守りながらリュックの中身を整理する
そんな中、巫女は周りを確認し
思考する
崩れ方が新しい
それに魔力反応、アイツ等の中に地の魔法が使える奴はいない、、となれば落とされたと考えるのが自然だ
だが、何故本人がいない? ここまで遭遇しなかったんだ、追って行ったのか? この高さから?
前の、羽持ちの様に飛べるのならわざわざ狭い場所を選ばない、野外で戦闘する筈だ
!?
引き擦った様な血の跡 それを目線で追うと
、、砕けた石壁に何本かの折れた弓矢、それと不自然に綺麗な紙きれを見つける
(この血溜まり、普通なら致死量 跡からしてさっきの死体とは別だ、やはり)
・・・
「オッケーです! この位置なら扉もあるので進めます! 幅もあるので皆さん降りて来れますよ~」
シフの声が響く
「お~分かった~ ジンから下りると良い」
「え、俺も腰に巻きたいんだけど」
「アル達が危ないんじゃ! さっさと行かんか」
「あ~、そ、そうね」
ジンは渋々軍手を装着しリュックを背負い カセンの掴むロープを握る
「お~いシエルもはよこ~い?」
少し遠くにいる巫女に呼びかける
「ん あぁ」
巫女は血溜まりの近くに落ちていた紙切れを拾い
とりあえずとばかりにポケットへとしまう
「よ~し! 全員下りれたな?」
上から赤鬼の声が聞こえる
「オッケー、シエルも今下りた~ ってカセンはどう ぅ?」
しゅるるる パサ
ジンが上に呼びかけているとロープが上から落ちて来る
「え?」
続いて
間髪入れずに赤鬼が降って来る
「おわあああああぶねえええ」
「お~なんじゃあ?ジン、そんな所にいつまでもおったら危ないじゃろ」
「危ないのはお前だよ!」
カセンは30mまでは無いものの
少なくとも20m程の高さを難なく飛び降りて来たのである
「相変わらずの規格外だな」
「もう下まで飛び降りちゃえよ!」
「そんなん流石に怖いじゃろが」
まだまだ下へと続く穴へ移動出来る箇所を探しては下ってを繰り返し
赤く点滅する
水浸しの部屋へと到着した
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