55 侵入

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/20 10:05


ザバーン


ザバーン


ザバーン




大きな地震、、

恐らくはあの魔族の能力、魔法だろう

モニュメントのあった部屋の地面が激しく割れ、三人は瓦礫と共に下へ下へと落ちた

咄嗟にラフィが水魔法を詠唱し衝撃を殺した


と思った矢先に再び水圧、重さでもう二度三度と階層を下へ落ちた

その度に水魔法で量を増やし衝撃を殺す



どれくらいの高さを落ちただろうか


体育館程の広さをした一室が巨大なプールの様になっている



「ぷは! 二人共!  無事か!?」

青年がザブザブと瓦礫に這い上がる


「大丈夫! あたしは平気」

どうやらツインテールの少女は青年よりも先に水上に上がったらしい


「私はこっちだ~」

反対側の岸にエルフの姿も見える


「良かった、、、って  なんだ?  ここ」

バルが一息つくと同時に周囲を見回す



直ぐ近く、、と言うよりところかしこに巨大な箱の様な、はたまた板の様な物が幾つも並び、上から下までがびっしりとコードやら機械やらで詰まっている


壁は薄っすらと青白く光を発しており、水面の下は瓦礫でまみれで詳しく確認は出来ないのだが似たような機械や破片が浮いているのは分かる



「遺跡の地下、、だよな」


「すっごいよね、水は少しずつ引いてるみたいだからどこかに繋がってるんじゃないかな? ヤバイ絶対お宝あるよ!」

アルのテンションが爆上がりしている


「お~い、そっちに私の弓矢落ちて無いか~?」

エルフはマイペースに荷物を探す



・・・



ちらりと上を見上げるが魔族が追って来る気配は無い


「二人共、、無事に出れるかとかそういう不安とかないの?   適応力高いな~」

とりあえずはバルも自分の荷物を探す事とする












8/20 15:00


水が引くまで大分時間がかかった

筒抜けで上からの風も吹いている為、不思議と寒くもなく暑くもない心地の良い温度だ


バルは瓦礫を積み、空気孔(くうきこう)の様な隙間へと侵入捜査に向かった

ラフィは消耗したのかすぐに睡眠へと入った

アルはエルフと自分の服を干してから辺りの機械を物色している


「帰って来る時声出してよー? 服着るから」



・・・



(もう聞こえない所まで行っちゃったか)


ある程度機械を分解してみたのだが少女には全く分からず

正直そろそろ飽きが来ている所だ


(水引いて来たし、別の部屋行ってみようかな   流石に一人じゃ危ないかな?)

瓦礫の山を下ると水の高さは足首程まで引いている


(この足こういう時は便利よね)


アルの義足は不思議な物で水を一切通さない、所謂防水加工では無く耐水性である


瓦礫の下までは来たものの、、目新しい物は無く同じ様な機械が並んでいるだけだ


(ん~、ちょっと通路見るくらいは良いよね?)

水が少しづつ進行している

ので恐らくではあるのだがこの部屋の正しい出入り口へと歩き出す



ゆっくりと通路に顔を出すと通路面が全体的に青白く光り出した


「お~すっご~い」

少女は真っ暗な通りが徐々に光を発する床、壁、天井を目で追う と


(ん?)

小ぶりの冷蔵庫の様な機械が50m程向こうから凄い勢いでこちらへと近づいて来る


(げっ! まずいんじゃない!? ここの機械ってたしか)



【遺跡内は危ない機械だらけらしいからのぉ? 何か狙いがあるんでも本当に気を付けるんじゃぞ?】

赤鬼の言葉が脳裏に浮かぶ



機械の塊は3m程の位置まで来るとピタリと止まり


上部が点滅を始める


「タイオンカンチ シンニュウシャヲハッケン  タダチニタイジョウシテクダサイ」


「おお!?すっごい、喋れるんだ」


「60 59 58 57 56 55 54」

不意にカウントダウンが始まった


「え? え? ちょちょちょ、ちょっと!?」


「48 47 46 45 44 43」


「待ってよ! 出たいけど出られないんだってば!」


「36 35 34 33 32」


「むしろ帰り道教えてよ!」


「27 26 25 24 23」


「ちょっと~!も~!」


「19 18 17 16 15」


「話を!」


「12 11 10 9」


「聞かんかあああ!」



ガギャアアア  ガシャア



アルの強烈なハイキックが点滅する部分を蹴り壊す



ジージジジジ ピピ ピピピ ジジー ジー



カウントダウンは止まった


(あっぶな~ 何? 爆発でもされちゃうとこだった?)

蹴り壊した機械から念の為距離をおく




のだが




ウー ウー ウー ウー


シンニュウシャデス シンニュウシャデス


淡く青白かった周りの光が一気に赤く染まり点滅を始める



「えええええええ 嘘でしょおお」

少女は急いで元の部屋へと駆け込む



「何? どうした!?」

空気孔からバルが飛び出す


「あ、あの ごめん 機械に見つかっちゃって、壊したら 鳴っちゃった」


「場所は? バレてるって事?」


「た ぶん?   どうしよう」


「ダクトの先も似た様な場所にしか繋がってなかったから入り口から出よう  ラフィ!! 起きて」

寝起きの悪さを知っているバルは少し強めに肩を揺らす


「む、おぉ? あ、あぁ おはよう  大丈夫 起きた」

上体は起こしたが目はバッチリ閉じている


「急いで! 緊急!! 早く! 行くよ」

その瞳を強制的に開ける


「あうあう あ、あぁ? おっけ~ 分かった~」

明らかに分かっていない返事でしかない


「ごめんだけど 急いで~」

アルがラフィの荷物をその手に握らせる


「ん、うん」

寝ぼけながらに腰袋をベルトに結ぼうとする




ポスン



「ん~?」



そう、服を干しているので女性陣は下着姿である



・・・



「え~っと、、、先 通路見張っとくから」

そそくさとバルが入り口に向かう







「ty☆〇××☆××mbぴゃああ」






サイレンよりも大きな悲鳴が部屋中に響く



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