36 告白

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/14 23:00


「ほれ!」

赤鬼と少女がほこほこした顔で風呂から上がって来たのでビールと麦茶を用意する


「おお! 気が利くのぉ~  ん、なんじゃ?アルには麦茶なんか?」


「そりゃあそうでしょう」

(え、何?こっちの世界は未成年とか無いの?)


「あ、ありがとう」


「ん! おう  じゃあ落ち着いたらで良いからちょっとみんなに話してくれるか?」


「あたし、多分話上手くないから  汲み取ってくれると  その 助かる」




アルは言葉に詰まりながらゆっくりと皆の顔を見ながら話し始めた




まずは、とある施設から逃げて来た事

必死だったので場所は覚えていない、、が何処かの地下から抜けて来た事

彼女はその施設で今の足に『された』らしい

巫女がいつからそこにいたのかを質問したが幼い頃にはいた、、と思う   との事

それどころか、近々に施設でどう過ごしていたのかも思い出せないと言う


急にシエルがアルの頭に手を置き発光を始める


「魔力操作などでは無い、、が別で身体中傷んでいたので治してやった  から明日も飯と酒をよこせ」

とこっちにせびり出した


「あ、あれ、 うご、く  足も動く!」


「そりゃそうだろう、背中やら腰の骨が破損してたんだ  まぁ、良いから続けろ」


「すごい、首も痛くない  ぁ、ありがとう」



少女の話は深夜も続いた



逃げた先の町で生きて行く為に盗みを働いた事


人を騙した事


盗んだ物は返したがそれを見られ追われている事



キーロいわく町は方角的にディーン王国では?との事




しかし




「え、そんだけ?」

ジンは不思議でしょうがなかった


「そんだけって、、あたしは  泥棒なんだよ?」


「ん~、ダメだけどしょうがなかった気もするしな~、、ってかそんな重罪 なの?」

(騎士の甲冑を使って人を騙していたのはもしかしたら結構デカいのかもだけど?)


「返しに行っちゃうのは律儀で面白いですけど、事情が事情ですしむしろ騎士側で保護出来た案件ですね?」

従者がしっかりと答えをくれる


「そこの鬼だったら酒の為だけに国ごと破壊しそうなもんだ」

ま~た巫女が絡む


「お~?まだ人間に手を出したことはないぞぉ?」




「あ~、いや~さ~、出すタイミングずっと待ってたんだけど」

今だ!とばかりに引き戸を開け

「流石に盛り過ぎか人違いだと思うんだけどさ~  コレ キーロに書いてもらったやつ でこっちがお手紙」

一枚の依頼表と書留で送られた何枚かの書類を机に置く


「あぁ、朝届いたとんでもない金額の!」

キーロは依頼自体を記入したので覚えている様子





【討伐後  生け捕り5000万  首のみ700万】





「すごくね?」

何故かジンはドヤ顔である


「これ、、アルの事だったんだ」

キーロが写真を見つける


「流石にこの金額は  でも騎士団から直接、、ですか 通常なら間違いなどなさそうですけど」

従者はジンが雑にちぎった封を調べている


「ほ~、アル~えっらい額じゃの~ すごいすごい!」

(カセンは、どこのいとこのおじさんだよ)


「あ、あたあた、あたし、う、、売られちゃ います か、、、」

(もうやめたげてこの子さっきも思ったけどメンタル豆腐くさいから)





巫女は2枚、3枚と書類に目を通すと音読を始める





「10年前も本国の甲冑を使ったある事件が起きた、その為警戒を強めていた」


4枚目の文章を読み始める巫女の眉が動く


「のだが事は起こってしまった   7月28日の夕方 とある一家を無残に殺害     一家四人は腹を開けられ臓物を貪られた形跡があり犯人は吸血鬼か異形の者、あるいは狂人である可能性が高い、、、、と」












「は?」








思わず声が出た

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る