29 書留
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/14 8:00
「おはようございます~ って あれ?」
「にゃあ」
キーロがギルドの入り口で子猫と鉢合わせる
(こんなところに子猫? 王都から来たとか?? 良く来れたな)
「あ˝~気持ち悪、、お˝ぅ、キーロおはよ˝~」
箱を抱えたマスターのジンが酷い声で店から出て来る
「すごい声ですね、今日は今開店ですか? ってお酒くさ」
「う˝~ん、外れた飲み方をする奴らのせいで酒焼けと二日酔い? 当日酔い?」
ジンの抱える箱には大量の空瓶が並ぶ
「はは、とりあえず喚起しておきますね」
「頼むわ~ちょっとごみ系捨てて来るから お˝ぅルトも来てたのか、おはよ」
ジンの足に黒猫がすり寄って来る
「あぁ、その猫飼ってるんです?」
「い˝や、野良だよ?最近昼に毎日来るんだよ朝来たのは初めてだわ」
「名前付けちゃったんですか?」
「クロって呼んでたんだけど、流石にそのままはどうかな~って」
(いや、そういう意味じゃないんだけど)
「あ~え~っと了解です、とりあえずゴミ出して来ちゃって下さいな」
「う~い」
(何時くらいまで飲んでたんだろう)
キーロは店に足を踏み入れる が
「エーー ハイリタクナイナー」
カウンター横に乱雑に転がる酒樽と酒壺、酒瓶に半裸に近い赤鬼
壁を背にしブラウスから片方肩が出た状態で座り込み眠っているロリ巫女
店の奥の水壺に頭から突っ込んでいるのは恐らく従者
「はぁ、、、どこから手を付けよう」
「にゃあ」
溜息に黒猫だけが返事をする
8/14 9:00
「あ~あ~、う˝、うん いや!本当に助かったわ 俺一人だったらもうちょっと時間食ってたし」
ジンは何杯目かの水を飲みながら残り少しの洗い物をしている
「何時まで飲んでたんです?」
キーロは黒猫を膝に置きジンの入れたコーヒーに手を付ける
「多分6~7時?」
「今さっき!?」
「俺が寝たのが5時だから分かんないわ」
「ハハハハ、ジンさんもタフですね?」
乾いた笑いをしながら黒猫を撫でていると何かを咥えている事に気が付く
「あれ? どこから持ってきた? 紙?ですかね」
「貼り付けてるやつ取っちゃったか? ん?なにそれ巻物?」
依頼表は基本的にジンが保管しているのだが誰でも良さそうな物に関しては壁のボードに張り付けている
「うり、返しなさい」
ジンが口元に手をやるとポロっと落とす
「ほら! コイツマジ良い子なんだよ~」
「なんでジンさんが自慢げなんです?」
「でもこんなサイズの紙うちにはないからな~ どっから持ってきた~? おい、おい」
子猫の口元、耳の付け根を指で撫でまわす
「ネコバカだったんですね、、ゴミにしては綺麗にまとまってるので一応確認した方が良くないですか?」
「ん~あ~そうね~」
小さく丸まった紙を引き延ばす
【いらい おおとさたのこやたすけろ】
「、、まさかの依頼表を頂きました」
「はい?」
「どう思う?」
キーロに小さな紙を渡す
「依頼 王都、かな さたのこ たのこや さたの小屋? 助けろ ん~?暗号と言うより救難届ですかね?」
「王都のどっかの小屋?」
「広すぎますよ 『さ た の』 がなんでしょうね? そんな地名あったかな? さたの さ たの さた の」
ドンドンドン
ギルドの扉を叩く音がする
「おぉお!? い、いらっしゃっせ!?」
「珍しいですね~」
ギギギィ
入り口の扉が開く
「書類のお届けです~ サイン下さい」
「こっちも依頼表かよ! ってサイン? いつもはポストじゃん」
「えぇ、ディーン騎士団様から確実に と書留となってますね」
「は?
騎士団?
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