第95話 描写とサグラダ・ファミリア
月曜日に初めての長編の連載を開始しました。すでに読んでくださっている方、本当にありがとうございます。KACもあるし、みなさんお忙しいのに感激です。
いったん最後まで書いたあと、一話目から改稿しながら書いていますが、一番の課題は、描写をもっと丁寧にすることです。下読みしてくれた某コーチから「描写がちょっと物足りない」とずっと言われてて、「改稿時にまとめて直しま〜す」って最後まで後回しにしてたんスよ。一稿目は、とにかく物語を最後まで終わらせたかったので。
私、描写が苦手なんスよ。名作の描写も、物語の続きが気になって読み飛ばすような、ひどい読者です。せっかちなのでしょうね。
自分の小説を書くときも、とにかく読者が飽きないように、とっとと物語を進めたくて、「私の拙い描写なんて、誰も読まねぇよ」って思いながら、必要最低限だけ入れる傾向があります。
職業病な部分もあるかもしれません。マーケティングという仕事をずっとやってきて、特に気をつけているのが、現代人は時間がないっていう点です。とにかく簡潔に。3分かかる説明を、なんとか15秒にしないといけないような世界です。(そればっかりでもないですが)
なので、3文字と30文字で、同じことが伝えられるのであれば、迷わず3文字を選びます。
エッセイを書くときも、編集してるときに「これいらん」「これもいらん」ってザクザク削除して、半分くらいになることがあります。
デザインも、華美なものより機能美が好きですし、家のインテリアも、かわいい小物を買ってくるのは夫のほうで、夫と一緒じゃなかったら、ミニマムでがらんどうの家に住んでると思います。
で、サグラダ・ファミリアですよ。(←急に!)スペインのバルセロナにある、クレイジーな設計の教会なのですが、ご存じの読者さまも多いと思います。
もう十年以上前に中に入ったことがあるのですが、本当に感動しました。建物に、直線がないんです! ぜーんぶ曲線なんです。1889年に着工して、まだ未完成なんですよ。140年経ってるのに。
天才建築家のアントニ・ガウディ設計ですが、彼の常軌を逸した才能よりも、彼の壮大な計画を支持したパトロンの存在に感動しました。いや、どこの誰がいつ金出したのかとか、複雑そうなんで、よく知らないんですけど(笑)。
140年かけても終わらない設計ってことは、最初に資金援助した人、死ぬまで未完成のままってわかってたはずですよね。ほとんど直線のない設計なので、工事をする側もむっちゃくちゃ大変です。効率を考えれば、どう考えても狂気の沙汰です。それを、本当に大勢の人が、気の遠くなるような長い時間をかけて支えてきたってのが、すごいな〜って思ったんです。
人間ってそういうとこあるよね☆って思いました。
私は貧乏性なので、ムダが嫌いで、機能がちゃんとあるものが好きです。でも、バルセロナの街に、あの巨大な曲線を出現させた芸術には、とても大切な「機能」があるのだと思います。
描写の話に戻りますが、物語の進行に邪魔になるような描写じゃなくて、読者を現実から物語の世界にワープさせて、心ゆくまで楽しんでもらえるような描写をしてみたいものです。
私が、2010年のバルセロナで、19世紀に始まった壮大なロマンに涙してしまったみたいに。
ぜんぜんできてないんですけどね! 140年後くらいには、できるようになっているかしら(笑)。
コソッと宣伝:「死にたい夜にリベンジ」お手柔らかに読んでください♡
毎日夕方五時に更新しています。全40話で完結です。
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