第82話 オーストラリアのクリスマス

 もう年の瀬ですね。今年最後の更新になると思います。改めて、私のロックダウン・ライフを充実させてくださった、カクヨム村のみなさま、今年は大変お世話になりました。


 さて、「オーストラリアのクリスマスはどんな感じか知りたい」というコメントをちらほらいただいたので、ちょっとだけご紹介しようかと思います。


 その前に、私が小さかったころの日本のクリスマスについて、書いてもいいです? 比較対象になるかなと思いまして。

 

 実家が自営業なんですけど、クリスマスイブの日に、大きな箱に入ったケーキが十個くらい、自宅のすぐそばにある会社に届いていた記憶があります。自分ちのぶんプラス、親戚や従業員さんのぶんを、取引先のお菓子屋さんに、まとめて注文していたらしいです。


 学校から帰って、ずずんと積まれたケーキの箱を見ると、むっちゃテンションが上がりました。箱の上部に、パコッと折って立体にできる持ち手がついてて、持ち手を作ると、下の透明なフィルムごしに、中身がのぞけるんです。スポンジケーキに生クリーム、上にサンタさんと柊の葉の飾りが乗ってるやつです。チョコバージョンもありました。早く食べたいなと思いながら、姉弟たちと、代わりばんこに何度ものぞいたものです。


 大人になって、もっとグルメなケーキもたくさん食べましたけど、あの昔懐かしいクリスマスケーキ、今でも思い出すと幸せな気持ちになります。


 クリスマスイブにクリスマスケーキを食べて、お風呂に入ってお布団に入っても、ワクワクして寝付けない。「サンタさんが来るまで起きてる」とか言って。でも結局爆睡して、朝早く起きたら枕元にプレゼントが! きゃ〜♡ というのが、私が子どものころのクリスマスでした。


 クリスマスツリーもリースも飾ってなかったですし、それだけっちゃそれだけですが、昭和の香り漂うハッピーな思い出です。平成・令和のクリスマスはかなり違うんですかね。家庭によっても違うでしょうしね。


 さて、あれから30年くらい後の今年のクリスマス@オーストラリア。


 私たち四人家族は、お義母さんとそのパートナーさんの家でクリスマス休暇を過ごしています。オーストラリアのど田舎にある、大自然に囲まれたお家です。


 義母はユダヤ人ですがパートナーさんはアイルランド系なんちゃってカトリック(教会に最後に行ったのは半世紀以上前みたいな感じ)です。孫たちのために、大きなクリスマスツリーを飾るようになりました。宗教的な意味合いはなくて、「子どもが喜ぶから」一点につきます。


 ツリーの下に、お互いへのプレゼントを並べときます。クリスマスイブの夜、子どもが寝静まるのを待ってから、サンタさんからのプレゼントを追加します。


 オーストラリアの子どもたちは、クリスマスプレゼントを複数もらうところが多いです。両親や祖父母や親戚、プラス、サンタさんから。こちらのクリスマスプレゼントは、「親戚の大人たちからたくさんもらえる」というところが、日本のお年玉と似てるかもしれません。


 クリスマスの朝、みんなでゆっくり朝ご飯を食べてから、プレゼントを開けます。


 プレゼントを開けるときは、包装紙をビリビリと破ります。日本人みたいにそーっとセロハンテープを剥がして、きちんと折り畳んだりしません。なので、無残な包装紙のゴミの山が出るのもお約束です。午前中いっぱい、プレゼントにもらったおもちゃで心ゆくまで遊びます。


 で、昼ごはんにエビや牡蠣やロブスターなどの、ちょっと豪華めなシーフードを食べる家庭が多いです(特にエビはマストアイテム)。バーベキューをするところもありますが、冷やしたローストビーフやハム(大きな塊を分厚くスライスしたもの)を、数種類のサラダと一緒に食べるところもあります。ビーチでピクニックも人気です。


 クリスマスのデザートには、メレンゲを焼いたものの上にクリームとフルーツをのっけた「パブロバ」が人気ですが、クリスマスプディングを食べる人も多いです。どっしりこってりのクリスマスプディング、クリスマスが夏にあるオーストラリアではぜんぜん季節感がないんですけど、イギリスの習慣の名残ですね。


 以前、ポーランド系移民二世のご家族(カトリック)のクリスマスにお呼ばれしたことがありますが、そのときは、イブの夜に十二使徒にちなんだ十二のお料理が出されました。肉は食べてはいけないそうで、数種類の魚がメインでした。おご馳走のあと、一緒に真夜中のミサに行って、帰ってきてから酒盛り再開。ポーランド人は、おいしいウォッカは割らずにで飲むらしいです。そこのお母様がハーブやフルーツで味付けしたウォッカを、みんなでストレートで飲み、クリスマス当日は仲良く二日酔いだった思い出があります。ポーランド系一家、ウォッカの消費量がハンパなかったです。


 メルボルンは人種のるつぼなので、クリスマスのお祝いの仕方もいろいろです。クリスチャンじゃないからお祝いしない、という家庭もありますしね。


 ただ、大多数の子どもがサンタさんを信じているので、「イスラム教徒だけどサンタさんにはなる」なんていう親もいます。ウチもユダヤ人と仏教徒だけどサンタさん来たし、実家も仏壇と神棚がありますが、サンタクロースは毎年やって来ました。


 宗教の違いはあれど、年末年始の休暇中に家族で集まってお祝いをする家庭が大多数で、「メリークリスマス」の代わりに、「ハッピーホリデー」とあいさつする人も多いです。なんだか取り止めのない話になってしまいました。


 みなさまにとって、2022年が良い年になりますように☆


追記:クリスマスの日に、サンタの帽子を被ってサーフィンする人たちも結構いるそうです。私はクリスマスにサーフィンしたことないんで、見たことはないんですけど。なので、「オーストラリアじゃサンタもサーフィンする」というのは、あながちガセネタではないのかも。


追記2:みなさんのクリスマス、よかったら教えてください〜。

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