現代の介護現場
ケニー
現代の介護現場
プロローグ
本作は、現役介護士による現代の介護現場を描いた物です。この作品は個人的意見や価値観など多く含みます。これから少なくとも二十年以上続く高齢者社会に貢献される現役介護士や現役看護士、これからこの業界入りを考えている方々の参考などになればと思い私は書きます。しかし全ての施設、現場において全てがこのような場所でなく、しっかりと整った場所もある事も理解してもらいたい。
何を言っているんだなど思うかと思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
このような現場で一番弱い立場である介護士の悩み、ストレス、後悔がなくなることを願って
第一章 入職
晴れて面接を受かり初出勤日。しかし面接の時に説明された環境、待遇とは異なると感じるかもしれません。介護業界以外にもこのような会社は存在し、掲載業務以外の事をやらされたり、給料面で掲載金額よりダントツに少なかったりと掲載内容と異なることがある。
私が経験して来た施設は二つの施設で、二つ共業務環境や業務内容が異なっていた。
例で言うと、休日日数だ。掲載、説明内容より少なくオマケに8時間夜勤後残業で3から5時間残らされる。8時間夜勤だと夜勤明けが休日扱いになる。そうなるとどうなるか言わずともお分かりいただけるだろう。寝て覚めればまた出勤、又は睡眠を取ると夜中に起きてしまう為寝ずに目をこすりながら起きている為に外出するのだ。そうして私や私の職場仲間じゃやり過ごす。
次に私が以前にいた施設での話。一言で言うと無休だ。日勤をした後にそのまま夜勤をしたり、その逆をしたりと人員不足から一人に対しタイムカードを会社側が複数作り行なっている。
などなど働いてみないとわからないことではあるが、入職する前にしっかりサーチしよう。
入職してからでは遅いその前に回避する事
第二章 独裁者上層部
現代の介護施設の上層部の人間や会社は不況の時期に伸びた業界なのでクソったれが多い。基本的に職員より自分達が優先なのだ。
まず、よくある話が防犯カメラ問題だ。防犯カメラと呼ぶがこれは防犯カメラではなく、監視カメラだ。日中モニターから各フロアを監視し夜間の録画は出勤して来た独裁者達が録画再生して監視している。我々介護士は監視されながら働いている。私が勤めていた全ての施設が防犯カメラではなく監視カメラであった。ちなみにお金のある施設は、高感度のマイクを装備するカメラをつけ監視している。
次に独裁者と職員の関係だ。誰もが無理やり重労働を職員に要求するわけだ。当然不満はつのり口をこぼし共感し合う。勇気のある職員なら独裁者に業務の改善要求をするが、独裁者は拒否しその職員を監視する。そして後の会議でその職員の名前を挙げ、業務態度や行動の中で些細なことを問題として報告する。当然その後は本人に改善するよう各責任者が伝える。それで引き下がるのなら独裁者はそれ以上弾圧しない。だが中にはさらに独裁者達に改善要求や独裁者の意にそぐわないことを突きつける。そういった職員は粛清(クビに)される。まるで独裁政権には向かう暴動した民の様に最後は弾圧され粛清される。
そしてこれは私の勤め先であったことだ。独裁者が職員の個人情報を金に変えたのだ。これはニュースにもなったのだが、会社のトップに立つ人間が職員の個人情報を売り金に変えた。個人情報を売られた職員はその後家の電話が頻繁になったり、自宅に訪問販売などが相次いだ。
この件は先ほど書いた通りニュースにもなり職員達が団結し裁判沙汰にまでなった。が、独裁者は辞任しなかった。今も尚独裁者の席に座っている。
第三章 職員と利用者
職員が弱い。どういう事かというと、社内での立場のことを言う。第二章を読んでいただいたらわかる様に独裁者より職員は立場も権力もない。利用者にはどうなのか? 一言で言うと利用者にも勝てない。
何故なのか? それは利用者=お金だからだ。独裁者はお金が大好きだ。利用者が問題を起こしても早々に退所させない(プロローグで書いたが全ての施設ではない)
私が経験して来た中での出来事をあげよう。
・精神状態や認知、興奮状態からの暴力
・深夜の徘徊からの他の利用者への迷惑行為
個人的に一番多いであろうものを挙げてみた。現在私の勤め先で四人ほどこういった利用者がいる。だが全員優雅に私の勤め先に居座っている。
こうした事を相談員、ケアマネ、独裁者達に報告はする。動いてくれる人たちもいるが結局は動かさず、何も対策を練ってはくれない。何故なら
・家族が訳ありで言いにくい
・私の勤め先では満床にしていなければ相談員が粛清される
・薬の投与はコストがかかるため投与されない
などが理由で私の勤め先では対処というものがそうそう無い。私の勤め先に似た様な所もあるらしい。ここだけ見てもやりにくい職業だ。
先ほど「精神状態や認知、興奮状態からの暴力」と書いたがこれは当たり前の様にある。現役の方や経験者なら分かるだろう。当たり前の様に暴力、セクハラ等当たり前の様にされる。
暴力はどの様な場面で起こるのか。精神状態や認知、興奮状態、介護拒否等様々な場面がある。暴力のされ方も、ひっかき、殴る、ものを投げるなど。職員はそれにも耐えなければならない。やられてもやり返せない訴えることも難しい非常に弱い立場である。これがストレスの原因にもなる。
された側の職員は勿論報告をする。アクションを起こしてくれる人もいるが、これまた「認知だから」などクソな回答をして解決する奴もいる。しかも極め付けは家族に報告するが家族は「うちの親がそんなことするわけがない」と逆切れをする。まるで幼稚園、小学生のモンスターペアレントの親の様に。だが気持ちわわからなくもない。昔は穏やかだった親が暴力を振るうなど想像もできない家族もいるだろう。でもそうであっても逆切れをする家族も家族だ。「ご迷惑をおかけしました」の一言も家やしない。
我々介護士は絶対に利用者に勝てないのだ。
第四章 永遠の課題「人手不足」
経験がある方は分かるであろうこの課題。この業界に限らずあるかもしれないこの課題。よく聞くことがないだろうか? 「介護は給料と釣り合わない」と。そのとうりだ。
だが全ての場所でそうではない。人手不足かそうではないかは判り易い。給料がいいか、悪いかだ。給料がいい施設には人が集まる。職員にしっかりとお金を回す施設は多少ハードな仕事でも不満も少なく働いてくれる。逆に少ない給料でハードな仕事で誰が長期で勤めるのか。独裁者達は我々をどこかのお国の出稼ぎと思っているのかと言いたくなる。それよりこんな判りやすい事をも考えれない、実行できないアホな独裁者が多い。
先日私は看護士と話していて看護士はこう言った。
「介護士は月手取り30万をもらってもいい仕事。」
そう看護士は言った。その通りだ。食事の配膳をし、トイレにも連れて行き、風呂に入れ着替えさし、くその処理もして独裁者からの弾圧にも耐え、利用者、家族からも耐えて、業務だけでもこの鼻糞の様な割りに合わない給料だ。
人手不足は介護士の仕事量、プライベート時間まで影響する。ハードなシフトに削られる休みの日数。当たり前の様に休憩時間は削られ、12時間働かされる所もあるだろう。連勤だらけにもなるだろう。ちなみに私は21日連勤をしたことがある。
これらを当たり前の様に思える人は強い。だが、一般的には異常なのだ。
第五章 ストレス
よくテレビで介護職員が利用者に暴力、虐待をしたとニュースで見ないだろうか? そういう職員の言い分は「仕事のストレスが溜まっていてしてしまった。」だ。それに対し何もわかっていない評論家気取りのクソったれキャスターは「ストレス言い訳に暴力をしてはいけない」と言う。そうかも知れない。だが何故そのストレスの原因を追求しないのか。私は不思議で仕方がない。
ついこの間、私の勤め先でも虐待が起こった。その内容は以下のものだ。
・職員が利用者を居室へ誘導し臥床を促す
・職員はその利用者の対応を終え退室
・退室してしばらくすると先ほどの利用者が職員の元へ行く
・声をかけると利用者は激怒して「お前ものをとったやろ」と胸ぐらを掴み暴力を振るう
・暴力を振るわれた職員は最初は我慢する
・取っ組み合いが続きついに頭突きをしてしまう。
これが一連の流れだ。この利用者は以前から、物を取られる妄想が激しかった。職員は月のほとんど、1日のほとんどを職場で過ごしていた。
これも後の報告でストレスからと挙げられた。
そしてこれは私の体験談から分かったことだ。私は連日仕事詰めでフロアの人員不足から早く出勤し入浴介助を数日続け行っていた。また、残業面での不満、独裁者からの圧力、利用者からの暴力、暴言などからストレスが溜まりに溜まっていた。
そんな中入浴解除をしていたのだが、一人の利用者に対しイライラが溜まりついに爆発した。幸い利用者には手をあげず虐待にはならなかったが、脱衣室をひっくり返し、ドアを殴る、蹴るをしていた。私はこのままでは虐待をしてしまうと思い、施設の外に出て怒りを沈めた。
この事から一つ分かったのが、虐待をする前は自分では手をあげてはいけないと分かっている。だが気づいた頃には挙げている。こう言うことなのかと思った。
私の考えでは、虐待の原因は職員3割、施設7割だと思っている。職員のケアをできないのなら利用者のケアができるはずが無い。この言葉を全国のアホな独裁者達に分かってほしい。分からん思うがな。
あとがき
私の愚痴ありの作品ですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。プロローグで書いた通り介護施設全てではありません。職員のケアをしっかりとでき、職員を大切にする施設はたくさんあります。ですが悲しいことに独裁者が運営している施設がの方が多い印象です。
今作では介護業界の悪いところを書きましたが職場環境さえ良ければ、仕事面ではやり甲斐があり、仕事とは言え人に感謝され、逆に利用者から色々ためになる話も聞ける素敵な仕事です。これから目指そうと思う方は、本当に入職する施設を事前に調べておくこと。そしていい施設で働ける事を願います。
私は第五章に書いた私自身の体験以降「何故こいつは生きているんだ」「こいつの存在意義とは」と思う様になってしまいました。これを機にこの業界を辞める事を決めました。ここまで来ると介護士失格です。はじめは、「人助けをしたい」と思って入った業界でしたが。あと数ヶ月で終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
現代の介護現場 ケニー @keny90
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