孤独な戦い
リリアを守りながら戦うトウマ。
「クッ!」
トウマは勇者達に追い込まれていた。
「力を貸してやろう、下僕が死ねば我もまた殺されるからな」
邪神がトウマの中に入る。
白銀のオーラルの上からドロッと黒銀の魔力が流れる。
「勇者なのに魔族と手を組みやがって!」
反発の勇者がトウマに叫ぶ。
『お前に何がわかるんだ!』
「ッ!」
一瞬。
トウマの剣が反発の勇者を貫く。
「なんて速さだ!」
精霊の勇者の声に剣の勇者は動く。
『無の一閃』
剣の勇者の斬撃が反発の勇者とトウマを巻き込む。
「おせぇんだよ! 雑魚が!」
トウマは段々と荒々しい口調になっていく。
『ひれ伏せ』
反発の勇者を殺したトウマは重力魔法を放つと剣の勇者以外の勇者達が地面に激突する。
剣の勇者もなんとか耐えている状態だ。
「反発の勇者の力だと」
光の勇者が言葉を漏らすと。
『シャイニング・フレア』
勇者達を巻き込むように光の神級魔法が放たれる。
重力魔法に耐えていた剣の勇者は自分が持っていた剣を捨てると何もない空間に右手を突っ込む。
『リミテッド・アビリティー』
右手を引き抜くとその手には虹色のオーラを纏う剣が握られていた。
「この剣に魔力を流すとどんな魔法でも斬れるんだよ~これで僕に斬れなかった物はないよ~」
間延びする声と共に剣の勇者が白銀のオーラルを纏った虹色の剣を振ると斬撃が生まれる。
『無の一閃』
その斬撃は太陽を切り裂き共に消えていった。
「俺の魔法が……」
トウマは驚きに満ちた声を出す。
「僕には魔法は効かないよ~」
剣の勇者が勝ちを確信した時に。
「……まだ力が足りないのか」
トウマは呟くと。
『シャイニング・フレア』
太陽が四つ出現する。
全ての勇者の真上に出現した太陽が迫る。
「う~ん、一つしか無理だから~皆んながんば~」
剣の勇者は虹色の剣に魔力を溜める。
「僕も本気を出さないと死にそうだね」
闇の勇者が虹色のオーラルを纏うと重力魔法に逆らい立ち上がる。
『
「俺、防御魔法とか使えないんだけど!」
精霊の勇者が叫ぶ。
「この状態だとジャストガードも使えない」
光の勇者は死を覚悟する。
二つの太陽が割れ、二つの太陽が光の勇者と精霊の勇者を巻き込む。
「ダークネスはさ、それを最初から出しといたら良かったんじゃないかな~?」
『勇者達は何もわかってないよ』
闇の勇者の呟きは誰にも聞こえない。
「大事な人ならちゃんと守らないとね~」
剣の勇者がリリアに向かって斬撃を放つ。
『無の一閃』
トウマは剣の勇者の攻撃に追い付くが受けられる体制ではない。
「くそがぁぁぁぁ!」
トウマは剣を斬撃に向かって振る。
トウマと魔力を纏う斬撃の間に人影が現れる。
「何をしてるんだよ~」
「なにって? 助けたん、だよ」
トウマの剣に貫かれながら闇の勇者は左腕がなく、トウマ達を庇うように立っていた。
「女だったのか……」
フードがパサリと取れ闇の勇者の本当の姿が現れる。
「女の、子だったら、手加減してくれ、たのかい」
「それは……」
「ふふ、今まで殺そう、としてた相手に情けかい?」
「俺は間違っているのか」
トウマは唐突に闇の勇者に自分は間違っているのかを聞いてみたくなった、盾になって自分を守った闇の勇者に。
「君は間違ってないさ、僕の力を奪えば剣の勇者なんか、楽勝な筈だよ、僕も誰かに、助けて、欲しかった……その娘を守って、あげるんだ……よ……」
剣を引き抜くと闇の勇者はバサリと倒れる。
トウマは奪った直感で感じた。
闇の勇者はここに召喚されるまでの間に永遠とも取れる孤独を味わった人物だと、誰も助けに来ない永遠の牢獄。
だからトウマのように誰かを助ける為にもがく者を助けずにはいられなかったと。
「あんな戦略一度きりしか使えないのにダークネスは余計な事を~僕はプンスカだよ!」
トウマは剣を構え直すと、オーラルの色が変わる。
『
虹色に。
「どんな魔法でも斬れるんだよな」
「そうだよ~」
『じゃあ斬ってみろよ』
トウマは全ての魔力をこの魔法に注ぐ。
『シャイニング・フレア』
剣の勇者は魔力を虹色の剣に溜める。
『無の一閃』
太陽と半透明な斬撃がぶつかり合う。
「いけぇぇぇぇ!」
トウマの声に呼応するかのように太陽がさらに大きくなる。
「なに~!」
剣の勇者の斬撃を飲み込み、剣の勇者も飲み込む。
『終わったようじゃな』
「あぁ」
トウマはリリアに近づく。
『代価のデスキャンセルを授ける』
トウマの身体に闇が入り。
『デスキャンセル』
トウマはリリアに触れ能力を発動させると空中から淡い光がリリアの中に入っていく。
「リリア! リリア!」
光が収まるとリリアに声をかけるトウマ。
「あれ私眠ってたのかな」
その声を聞き、トウマは涙を流す。
「トウマさん、何があったんで……」
「それより聞いてくれ!」
トウマはリリアの声を遮る。
『リリアが好きだ』
リリアの頬が朱に染まる。
『はい、私もですよ』
リリアはトウマの告白に応えた。
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