海だ〜!
ユウカ達は一日かけてやっと海についた。
馬車の中で着替えを済ませて。
「さぁ海だよ!」
水玉が入った白いビキニタイプの水着を着たユウカはテンションMAXで海に駆け出す。
「ユウカちゃん早いよ~」
その後ろを薄いピンクのワンピースタイプの水着を着たリリアが追いかける。
「お姉ちゃん、はしゃぎすぎだよ」
「いいんじゃないか? こんな時ぐらいは」
ミライは無地の白いTシャツを着て、黄色の水着がチラチラと見える。
ミミリアは赤色の水着が大人っぽい雰囲気を醸し出している。
ミライとミミリアは二人で歩きながら海に向かう。
「なぜ我が……」
「フィリアちゃん、早く~」
ユウカが馬車の中でうじうじしているフィリアに聞こえるように海の方から声をかける。
「うっ……」
ユウカの声に引っ張られるようにとぼとぼと青いスクール水着を着たフィリアが海に歩いてくる。
レジャーシートを広げ、ビーチパラソルをテキパキと組み立てるユウカ。
「よし、できた~」
「お姉ちゃん準備万端だね」
「もちろんだよ~」
「お弁当置いとくね~」
リリアとミライはビーチパラソルで出来た影に持ってきたお弁当や水筒を置いていく。
各自持ってきた荷物も馬車からパラソルの下に運んでいった。
ユウカが持ってきていたボールで遊ぼうと言い出し、五人は海に少し足が浸かるような浅瀬でボール遊びをすることになった。
「いっくよ~」
ユウカがおもいっきりスパイク!
「ユウカちゃんこれってそういう遊びするの?」
リリアは難なくレシーブ。
「そうだっよ!」
スパイク!
「ふむ」
ユウカのスパイクをフィリアは難なく返す。
「おりゃあ!」
「これは遊びなのか?」
ミミリアもユウカのスパイクを綺麗に返す。
「スパイ……」
数十分が経過して。
「や、やるね!」
「楽しいね~」
ユウカとリリアはニコニコしながらボールで遊んでいる。
ミライは最初からこの遊びに入れずにいた。
「お姉ちゃん! 私こんな激しいボール遊び知らないよ!」
日本じゃありえないくらいの速度でボールが飛び交う遊びにミライはついていけなかった。
「こうやってボールを落とさないようにゆっくりと回していくんだよ」
ミライがちゃんとした遊び方を皆に教えてあげる。
「ミライちゃんはわかってないね!」
「えっ?」
「そんなことしてたら永遠に続いちゃうよ」
「そ、そうだよね」
地球の常識では考えられないがユウカが言うようにこのメンバーなら永遠に続きそうだとミライは思った。
「じゃあ本格的に泳ごうか!」
ボールもしまってユウカが宣言する。
「ユウカちゃん、私泳いだことないんだよね」
「私もです」
「我もじゃ」
リリア、ミミリア、フィリアは泳いだことがないらしい。
水着も服屋さんではついでとして置かれてたような物で一般的には普及してはいない。
可愛い水着が売っている服屋さんを探すのにも少し苦労したのだ。
「じゃあ教えてあげるよ~」
それからユウカが少し教えてあげると三人はすぐに泳げるようになった。
「ぷは~ミライちゃんもおいでよ~」
パラソルの下で涼んでいるミライにユウカは手を振りながら声をかける。
「私カナヅチなの~」
「そうだったね~」
遊びに加われないミライは少し寂しそうな顔をする。
「ミライちゃん、お城作ろうよ~」
すぐに海から上がってきたリリアがミライに声をかける。
「うん!」
リリアの誘いにミライは明るい笑顔で頷いた。
海を泳いで満足したユウカは。
「お腹すいたね~」
ユウカ達はお日さまが真上に来る頃にお昼タイムに入った。
レジャーシートの真ん中には埋め尽くす程に大量の料理が。
「すごい! リリアちゃんが全部作ったの?」
「そうだよ~」
ミライに褒められて少し照れているリリア。
「リリアちゃんは料理上手だからね!」
「なんでお姉ちゃんが偉そうにしてるの?」
「お姉ちゃんは偉いからね!」
「そうだけど」
闇の勇者のユウカに言い返せないミライ。
「リリアの料理、本当に美味しいな」
「うぬ、本当に美味しいぞ」
色とりどりの料理をパクパクと食べていくミミリアとフィリア。
「喜んで貰えて嬉しいよ~」
リリアは頬を朱に染めて照れている。
昼食が済み、もう一度遊びに行こうとしたユウカ達の前に……。
「何か来るよ!」
ユウカが叫ぶ。
『ワープ場所ミスったか?』
海のさざ波が聞こえるすぐそばに謎の人物が光りと共に現れる。
「誰だい?」
ユウカは謎の人物に声をかける。
『俺に言ってるのか? 俺はな、最強の勇者だ』
黒髪に虹色の目の『最強の勇者』がユウカ達の前に現れたのだった。
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