本気出しすぎ!
次はいよいよ決勝だな。
いや~これで終わりか~長かった。そしてさっきは引っ付きすぎてリリアに嫌われたか? えっ! いやまさかな! 嫌われたのか?
泣きたい。
リリアとミミリアがバトルフィールドに登場した。
両者バトルフィールドの中央で向かい合う。
「お姉ちゃんには負けないからね!」
「私だってクレスから色々と教わったんですからリリアには負けません」
「まさかお姉ちゃん! リリアの約束を邪魔する気じゃないの?」
ミミリアが少し目線を反らす。
「そんなことはありません」
「あ〜お姉ちゃん私が羨ましいんだ」
「な、なにを根拠に!」
「眼を見ればわかるもん!」
バトルフィールドの中では女同士の譲れないバトルが繰り広げられているが観客席にいるクレスは。
(嫌われたかな~、いや、リリアから抱き着いて来たし! 抱き締めたのがダメだったか! いや……。)
クレスは思考のループに入っていた。
「お姉ちゃん、いくよ!」
「あぁ」
二人の魔力が跳ね上がる。
ミミリアは透明な黒銀のオーラを纏い、リリアは透明な白銀のオーラを纏う。
ミミリアとリリアが同時に詠唱に入る。
『漆黒の闇よ、形をなし我が手の中に』
ミミリアの手の中には、黒銀を纏う銀の剣が。
『天空の光よ、私に力を貸して』
リリアの手の中には白銀を纏う透き通る透明な剣が。
会場中の者が置き去りになるスピードで両者が迫る。
両者の剣がぶつかり合うと同時にミミリアとリリアを中心にクレーターが生まれ。
キンッ!
と音が遅れて発生する。両者の剣の衝撃だけでバトルフィールドに張られている魔法が揺れる。
「この前とは違うぞ!」
つばぜり合いをしてる状態でミミリアは不適に笑う。
「む~」
リリアは頬を膨らませてむくれる。
リリアがミミリアの剣を押し返して。
攻撃を仕掛ける。
一振りごとに重みやスピードが速くなる。
それをミミリアはギリギリの状態で凌ぐ、剣が触れてそれを受け止め力を流す。
「次は私からだな!」
全ての攻撃をギリギリで受け流し、リリアの剣を弾き返して反撃に出る。
ミミリアが剣を振るとリリアはそれを避ける。
そう、リリアは剣を避けれる程に見切っているのだ。
クレスはリリアの剣を受けれるようにとは言ったが、まだまだ両者の間には力の差がある。
リリアはクレスが天才と言った化物だ。それに対してミミリアはクレス基準の天才の領域に足を踏み入れたにすぎない。
「くッ!」
「お姉ちゃん行くよ!」
リリアが反撃に出ようとしたその時、ミミリアのオーラルの質がさらに上がり魔力が膨れあがる。
そして。
「いや、まだこちらの番だ!」
リリアの後ろに瞬間移動を発動し、剣を上段から振り下ろす。
ミミリアの瞳が翡翠から紫色に変わっている。
それをリリアは咄嗟に受け流す。
いくらリリアでも同じ領域の人間との戦闘でこの前みたいに圧倒するということは出来ない。
瞬間移動の能力で機動力はリリアを上回る。
ミミリアが瞬間移動を剣術に取り入れ、リリアは防戦一方だ。
これがクレスの言う天才同士の戦いなのだろう。
ミミリアが大きく上段に構えた剣を振り下ろす。
それをスキと思ったリリアがミミリアを斬る。
斬った瞬間にミミリアがブレて剣で斬った、いや通った。
闇の同化によりミミリアは無傷だ。
ミミリアの身体を通り抜けた剣、その瞬間にリリアに致命的なスキが生まれた。
「悪く思うなよリリア! 勝ったら私がクレスに何かしてもらうか」
「や・く・そ・く!」
上段から振り下ろされた剣を見ながらリリアが呟く。
そしてリリアの姿が消える。
「!?」
ミミリアの剣はそのまま空を斬る。
ミミリアはリリアの魔力を感知する。
リリアは悠然と空中に浮遊していた。
リリアのオーラルの能力は飛行。
一瞬で地面を滑るように飛行し、空中に逃げたのだ。
大振りしたスキも飛行の能力を使えばスキは無くなる。
リリアはミミリアを見ながら透明な剣を離し、その透明な剣がリリアの前で浮遊する。
そして手を祈るように組み詠唱に移る。
『暗雲を切り裂く光よ』
それを黙って見守るミミリアじゃない。瞬間移動してリリアに斬りかかる、それを空中に浮遊していた透明な剣が受け止める。
光属性神級魔法。
『私に導かれ、その力を』
バトルフィールドが埋まる程に大きな魔方陣が地面に刻まれていく。
ミミリアの剣撃を透明な剣が難なく防ぐ。
瞬間移動を駆使しても透明な剣がリリアを中心に守る。
『全てを焼き付くす焔に変えよ』
巨大な魔方陣が光輝く。
『シャイニング・フレア』
学園に張られた魔法の上に出現した光を纏う太陽がミミリアに向けて落ちてくる。
学園に張られた魔法は抵抗もなく破れ、太陽はミミリアに迫る。
『全てを覆いつくす闇よ、全てを飲み込み、全てを無に返せ』
ミミリアは全ての魔力をこの闇属性神級魔法に注ぐ。
『ブラックホール』
太陽の前に生まれた黒い玉は太陽を飲み込もうと二つの魔法がぶつかり合う。
その魔法同士がぶつかり合うとバトルフィールドに張られた魔法に穴が空き、砕け散る。
強大なブラックホールはコロシアムにいる全ての観客席の人達の魔力を吸い込み、太陽と同等の大きさになっていく。
急激に魔力を吸われた観客席の人達は意識を失う。
『おいおい、お前達熱くなりすぎな、学園を消す気かよ』
観客席とバトルフィールドを区切る壁の上に立ち、金のオーラを纏う黒剣を肩に担いでダルそうな声と共に現れた剣の勇者がそこにはいた。
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