天才な妹と最強な元勇者
くらげさん
物語
『貴様は何の為に戦っているんだ?』
魔王が俺に問いかける。
「何の為? 何の為か……」
最初は期待なんてされてなかったんだ。
俺に対して人々が口々に言うセリフは決まっていて。
『歴代の勇者の中で最弱だ、世界は終わった』
くだらない、なんで俺がこんな奴らを助けないといけないんだって思ったこともある。
今では俺がその場に現れるだけで、人々の絶望の色に染まった瞳に希望の光が差し込む。
そんな光景を見て思うんだよ、勇者ってのも悪くないかなって。
見捨てようとしても……。
『ユウ様はそんな事しないですよね?』
俺に笑顔を向けて見捨てるという選択肢を消す厄介な仲間もいる。
なんて世界に転移したんだよ……。
俺は魔王の問いに答える。
「俺が何の為に戦ってるかなんて、どうでもいいじゃねぇか」
俺は黄金に輝くオーラを纏う黒剣を魔王に向ける。
最弱と呼ばれた俺はもう既に何処にもいない。
最強と呼ばれた存在としてこの世界を救う。
これが俺の……最後の戦い。
世界の終わりを体現したような圧倒的な存在感を放つ魔王を倒したら俺の物語が終わる。
俺の物語が終わるって事なら勝っても負けても一緒か……。
どこまでも続いていく草原で俺はニヤリと笑い、呟く。
『手加減してやるからかかってこいよ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます