ホスト・イン・ワンダーランド

@naporeno

プロローグ

第1話 ホストの末路

歌舞伎町


それは、日本で最も有名な歓楽街の一つである。老若男女が自分の欲望のために集まり、金を稼ぎそして、金を使う。


そこには、さまざまな商売がある。「酒や飲み物を売る者」や「体を売る者」そして最も稼げる商売の一つ「夢を売る者」そう、ホストクラブ!


それは、普通の仕事と違い、飲食店のカテゴリーにあるとよくいわれるが中に入ってみると、そこは、飲食店とは程遠い女性にとって夢のような世界、無数のイケメンがおり好みの男を指名し侍らせることもできる!




だが、それはあくまでも店の中での話...




多くの女性は強欲だ。欲しくなったものは、とことん欲しがる。多くの女性は店の外でもホストと関係をもちたくなってしまう。だがそれはホストにとって好都合、「お店の外でも会ってやるからシャンパン入れて」など


と高額のシャンパンを下ろさせようとする。もちろん、外で会うだけが条件だけじゃない。ある者は一緒に住むことを条件に、そしてある者は体を条件に差し出す。そうすることで女性たちは、その届きそうで届かない夢を追い必死になって働きだす。そして普通の仕事だけでは稼げる額に限界があり、最終的には、体を売り金を稼ぎそして、気に入ったホストに使う。それが、ホストに通う女性たちの末路。


ホストとは、夢を与える仕事というが、それは間違いだ。


「偽りの夢を持たせ、女性の人生を変え、どん底に突き落とす」感覚が狂ってしまった女性たちはそれすら幸せと感じるがな。




そして、ホスト業界には、誰も知らない者がいないホストがいる。




☆☆☆☆☆




ここは、歌舞伎町にある、とあるホストクラブ。時は、月末でありホスト業界には「締め日」というイベントが存在する。


それは、その月で最も売り上げたものを決める。


いつもより、客が集まり普段下りることのない高額な品が頼まれる。


いつもは夢のような世界がその日は、戦場となる。


いつも夢を与えてくれる男たちは、その日戦士となり熱い戦いを繰り広げる!


そして、そこには二年間一位を取り続け、年間に2億以上売った男がいる。




そう、これはその男の物語~




『なんと、なんと、B1テーブルに最高級ブランデ、【ルイ13世】頂きました!あざっす!!!』




「「「あざっす!!!」」」




マイクを持ったホストの感謝の言葉の後に席の周りに集まったホスト達が感謝の気持ちを言う。




「こんな超~素敵なブランデを下ろしてくれた姫様に一言いただきましょう!」




そして、マイクを高額ブランデを下ろした女性にマイクを渡す。




『翔かける様~!、愛してます!なんだってあなたのために!』




と女性は隣にいるホストに毎日数分単位に思ってることを伝える。


そして、そのマイクを隣にいるホストに渡す。




『ああ、俺もお前の事、愛してるが俺ホストだからわかってるよな?だからもう一本!宜しくー!!!!!』




そして、その日のナンバー1が決まった。




            ☆☆☆☆☆




「はぁ~今月も何とかぎりぎりナンバー1か~良かった...」




ホストはため息を吐き、酔ってふらふらになった足で一人で家に帰ろうとしている。


そうこれは、この物語の主人公であり、だれもが知るホストである




天使翔あまつか かける




「今月もなるべく多く仕送りできるな!」




いつもより酒を飲みすぎて独り言がこぼれてゆく、


ホストになる人には、さまざま理由がある、大胆に女とイチャイチャしたい、酒が飲みたいなど、そして一番多い理由がお金のため。


翔は、金を求めホストになった。


ホストになるまでは、偏差値の高めな学校に通っていて成績も常にトップで運動能力も抜群の優等生。


だが、翔の家は貧しく、妹がまさかの音楽学校に通いたいと言いだしたのだ。そのため、翔は、大学へ行くのをやめホストになった。


未成年でホストを始めたので、お店で酒を飲めず、年齢も若すぎるため中々売れなかった。週に指名一本取れればいい方だ。


だが、翔は、毎日ナンパをし余った時間は常に女性と連絡を取り続けた。


そして、一年半の下積みをへて、今の地位まで上り詰めたのだが、




「翔さん...」




と、小さな声で翔は呼ばれた。




「うん?」




と翔は、呼ばれことに反応し振り返ろうとした瞬間




グサッ




っと何かに背中を刺されたような感覚がした。




「うっ、、....なんだ..これ?」




刺された部分を慌てて触れてみると生温かいものがドバドバ出ていた。




「翔さんが悪いんですよ、あなたのせいで私の人生は台無しになったんだよ!あなたのせいで!!!」




女性は叫びながら背中に刺した包丁をグリッとえぐりさらに翔の背中の奥まで差し込む!




バタッ!!




翔はそのまま倒れた。




「「「キャッー!!!!!」」」




「人殺し!」




近くにいたキャバ嬢の3人組とそれをナンパしていたスカウトが、一番最初の目撃者となり、その場は恐怖でざわつき始める




「救急車!、だれか救急車を呼べ!」




場所は、瞬く間に野次馬が集まって人ごみができる。


救急車がついたころには、




「死んでいる...」




と救急隊員の人が告げる




天使翔あまつかかける




死亡




一年前、自分のお客さんだった女性をもっと稼がせるため、風俗の仕事を紹介そして、もっと使わせようと思った翔はAVに彼女を出させた。それから間もなく翔と喧嘩し絶縁。そして、新しいパートナーを見つけ婚約をするがAVに出ていたことがばれて婚約破棄、それを引き金に翔の殺害につながった。




これは、ホストとしての翔の物語じゃない




これは、元ホストとしてもっと過酷で残酷な運命に立ち向かう物語だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る